世界中を旅するバックパッカーの皆様に最も気を付けてもらいたい事。
それは、各国の治安と害虫です。
治安の悪い所は自分が避ければなんとかなりますが、
害虫はそこら中にいるので、避けようがありません。
中には小さな個体でも、猛毒をもってたり、寄生したり、感染症の原因となってたり、危険なものが沢山いますよね。
そんな厄介な害虫を知らいないうちに、うっかりと持ち帰ってしまったらどうなるんでしょか?
今回は世界中で再繁殖している「南京虫(トコジラミ)」について、紹介します。
南京虫「トコジラミ」とは?
南京虫、トコジラミ、床虫…
呼び名は違いますが、いずれも同じ吸血寄生虫を指しています。
安宿のマットレスに潜んでいて、夜な夜な旅行者の血を吸っているイメージがありますが、
刺されると激しい痒みで寝る事ができないし、なかなか咬まれた後が消えないと言われています。
南京虫の特徴は?
成虫の南京虫、大きいものはリンゴの種くらいの大きさなので、動いているのがはっきりと目に見えますが、幼虫だと小さいのでなかなか気づきにくいかもしれません。
南京虫は日光や照明の明かりなどを嫌ってるので、昼間は狭くて暗い陰に潜んでいるんですが、
夜になったり、部屋の中が暗い所だと、ゴソゴソと這い出てきて、人の血を吸います。
人の血を吸う時は1か所だけでなく、這いずりながら何か所か刺してきます。なので、1匹の南京虫に刺されるという事は、同時に数か所が痒くなることでもあります。
そして、皮膚ならばどこでも刺してきます。
ノミやダニは皮膚の柔らかい所を刺しますが、南京虫は刺せるところは刺していくので、顔や全身すべてが対象です。
体が平べったいので、どんな隙間にも入り込む
さきほど南京虫の成虫は、リンゴの種くらいの大きさと言いましたが、
体は結構平べったいです。
なので、どんな隙間にも入り込む事ができます。
幼虫はちょっと丸い形になっていますが、体が小さいので尚更、どんな場所にも潜り込む事ができます。
例えば宿泊先のベットの上に、カバンをポイっと置いたままにすれば、カバンのふちに挟まる事だって出来るんです。
日中は、畳の下に隠れているのに、夜になると隙間から出てきて人を刺す事だってありえるのです。
メスは1日に5個の卵を産む
そして南京虫の嫌なところは、1日に卵を5個くらい産んでいる事。
1匹のメスががいれば、そいつは確実に日に卵を5個産んでいます。
なので単純に計算すると、1か月で約150個の卵を産みます。
その卵達は孵化した後、最低2~3週間程度で成虫になって、またそのメス達それぞれが卵を産みます。
なんで爆発的に増殖していくんです。
始めはほんの数匹の南京虫が、2か月後にはおぞましいくらいの数に膨れ上がっています。
メスが生涯に産める卵の数は500なので、半分がメスとして250匹×5個/1日…
なので気づいた時には、唸る程の数が揃っています。
殺虫剤に抵抗性をもった南京虫もいる
夜になると劇的に襲ってくる小さな害虫、南京虫ですが
殺虫剤が効かない事があります。
南京虫やゴキブリもそうですが、動物は日々進化しています。
今までに幾度となく人間に殺虫剤をバラまかれ、生き延びた南京虫の子孫たちは、
殺虫剤に対して抗体を作っています。
全部がこの抗体を持っているわけではないですが、近年「スーパー南京虫」の存在が確認されています。
市販の強力な殺虫剤や、駆除する時にプロが使う本格的なものをバラまいても、死なない時があります。
世界中で、旅行者が持ち込むケースが多発
日本では既に滅びていました。
私の住んでいるフランスでも滅びていました。
もともと私たちの国に南京虫なんて存在しなかったはずです。
ではなぜ2000年代に入って、南京虫に脅かされるようになったかと言うと、
人々の行動範囲がグローバルになったからです。
- 海外旅行に行った人がくっつけて帰ってきた
- 日本を訪れる外国人と一緒にやってきた
- 輸入/輸出物資に挟まってきた
大きく分けるとこんな感じで生息地を拡大しています。
もうすでに、南京虫を根絶するのが困難な状況になっていると思うんですが…
寒い所ではじっとしている南京虫も、地球温暖化の影響や暖房で温められた場所では、活発に動いています。
南京虫もグローバル化が進んでいます。
南京虫はどこにでも定着可能
海外によくある清潔感がない安宿に行ったら、どうでしょうか?
速攻で南京虫「トコジラミ」チェックをすると思います。
「いる 」って予感がグンっと湧いてくるので、
泊まれない人もいると思います。
ベット周りや、カーペット辺りにいそうな感じですが、
天井の隅とか、畳の下とか、床、本の中とか、ねじ穴の中とか、至る所に定着が可能です。
マット下のベットボトムが木製であれば、そこも格好の場所です。
南京虫は、血を吸わなくても半年間は生きる事ができるので、忍び込んだ先に人がいなくても生き延びる事ができます。
例えば、本の隙間に挟まっている事もあります。
紙の間に挟まっているだけなので、血を吸うことはできません。
でも長い間、吸血しなくても生きていけるし、
寒かったら冬眠しています。
そんな感じで、どこにでも潜んでいます。
なので、宿泊施設や誰かのお家だけでなく、
図書館・映画館・病院・学校など、ありとあらゆる場所に定着しているのです。
どこにでもいます。
発展途上国だけでなく、先進国でもどこにでもです。
フランスでも南京虫の被害が増加中
フランスでも2000年代に入って、南京虫に悩まされています。
フランスを含めたヨーロッパでは、第二次世界大戦後には根絶していたと言われていました。
しかし、再びカムバックです。
南京虫の被害件数は増倍している
▼【注意!】大量の南京虫が動いている動画です
害虫駆除のスペシャリスト「La CS3D」によると、フランスでは既に40万戸の住居が南京虫の被害にあっているそうです。
特にスペインに近い、中型都市 Perpignan「ペルピニャン」では、害虫専門の駆除チームの介入が頻繁に起こっています。
海外旅行者や温暖化の影響で、その被害件数は倍増しています。
入館者が持ち込んだ南京虫で図書館が一時閉館
マルセイユにある図書館も南京虫の被害にあっています。
主要な市立図書館なので、約100万の蔵書があり、中世の写本などを含む貴重な書物も所蔵しています。
一般家庭の様に「南京虫が着いた物全部、捨てちゃえ!」とはできません。
しかも図書館なので広いです、22000㎡の広さがあるので駆除が大変です。
とある入館者は図書館の3階にある肘掛け椅子に座っていたとされて、そこを中心に南京虫の被害が広がっていると予想されています。
探知犬が南京虫の居場所を教えてくれるのが、唯一の救いです。
▼トコジラミを探知する探知犬
一番の恐怖は、この図書館で本を借りていた人たちです。
貸し出されていた20,000冊のうち、8冊の本に南京虫の痕跡が確認されました。
この8冊を借りていたのは、同じ人の様なので、その人のお家は大変なことになっていると思います。
気の遠くなる駆除作業は今も続いていて、
2019年10月3日~10月21日まで、図書館は一時閉鎖です。
10月22日より一部だけを開館する予定だそう。
もし南京虫を発見したら… 対策のまとめ
▼ 売れ残りセール型の旅行予約サイト、LASTMINUTEで予約したホテルに、南京虫「トコジラミ」とネズミが沢山いたという投稿
旅先で、南京虫を見着けた場合、一番よい得策は、宿泊施設を変えることです。
これしかありません。
南京虫は一部屋だけに留まっているわけではないので、建物全体に生息していると思われます。
旅先で気を付けたい事
南京虫は、明るいお部屋にはいません。
カーテンを閉めたり、電気を消して暗くすれば、モゾモゾ這い上がってきます。
でも日中の明るいお部屋では、南京虫自体を見つける事ができません。
でも南京虫は、お腹いっぱいに血を吸ったら栄養だけ取って、黒い血糞をだしてます。
ベット周りはもちろん、部屋をチェックしてみて、黒いシミの様な点々がある時は、要注意です。
シーツは清潔そうに見えても、その下をめくってみないとわかりません。
マットよりもマット下においているボトムの方が分かり易かったりするようです。
そしてあまり掃除が行き届いてない宿泊施設には、床下に抜け殻が落ちている可能性があります。
南京虫は成長にあわせて脱皮しているので、抜け殻が落ちていることがあるのです。
専門家に駆除してもらうのが一番の得策
もし自宅で、南京虫を発見した場合の対処法は?
南京虫は素人が駆除したくても駆除できないものです。
見つけたら速攻で専門家に家に来てもらって、駆除するしかありません。
1匹でも取り残すと、またアッという間に増殖します。
上でも紹介したように、殺虫剤に抗体を持っているスーパー南京虫も存在します。
しぶといし、繁殖能力が凄いんです。
上に置いていた南京虫がひしめき合う動画では、駆除の専門家チームが3回駆除処理を繰り返した後でも、フローリングの張り替えなどが必要になっています。
南京虫の駆除方法、ヒントは高温
一時的な処置として、一番有効なのは高温で洗う事です。
衣類やシーツなど洗えるものは、高温で洗っておきましょう。
最低でも60度以上でないと死にません。
90度出れば絶命できます。
次に、隅々にまで掃除機をかけます。
そしてスチームクリーナーで仕上げるのが理想です。
ただこの方法は、一度ではなく毎日繰り替えす必要があります。
▼メルカリでかったマットレスに南京虫「トコジラミ」が付いていたケース。
掃除機・コロコロ・熱湯・高圧洗浄機・ドライヤーなどで駆除されたようです。
キャプションが長いですが、とても役立つ情報です。
【参考サイト】
https://france3-regions.francetvinfo.fr/provence-alpes-cote-d-azur/bouches-du-rhone/marseille/marseille-bibliotheque-regionale-alcazar-fermee-cause-punaises-lit-1731667.html
https://france3-regions.francetvinfo.fr/punaises-lit-toujours-plus-nombreuses-deviennent-fleau-plusieurs-regions-1736253.html
https://www.francetvinfo.fr/replay-radio/c-est-ma-maison/c-est-ma-maison-comment-lutter-contre-les-punaises-de-lit_3626587.html