食糧自給率が世界で見てもダントツ高い農業大国フランス。スーパーや市場に行けば新鮮でおいしい食材が豊富にあり手頃な値段で購入する事ができます。
消費者にとってはやさしい市場が広がっているのですが、生産者の現状はどうなんでしょうか?
農業従事者を取り巻く環境は厳しい
フランスの農業従事者を取り巻く環境はとても厳しく、年間の平均収入は15,000ユーロ(約193万円)とフランス最低賃金ギリギリの収入で働いている方が多いのが現状です。(la Mutualité sociale agricole調べ)
フランスに住んでいると、トラクターが集結してストライキをしている様子が度々報道されるのですが、ほぼ値が付かなった野菜を怒りながら破棄している生産者の方などもいて、今まで手間ひまかけて育てた野菜が原価割れして生活が出来ない…といった農家さんの訴えを見る事があります。日本同様、大規模経営農家さんは潤っているけど、小規模農家さんの場合、天候の良し悪しで破壊的なダメージを受けやすいので、補助がなければ生活が出来ない方も多くいらっしゃいます。
例えば一番大変だと言われている酪農家の場合、スーパーで販売されている有名マークの牛乳1パック(1L)で得る収入は、たったの6~8サンティーム(およそ10円未満)。店頭価格の10%弱だけが酪農家の取り分です。コマーシャルでバンバン見かける乳製品は広告費用が凄まじいし、スーパーが得る利益の割合が多すぎて、酪農家の手元に残るお金は微々たるものなのです。
農業従事者支援会 AMAPとは?
そんな中、立ち上がったAMAP(Une association pour le maintien d’une agriculture paysanne)とは何でしょう?
AMAPとは、農家・農業従事者を支援する目的で2001年に最初の支援会が発足しました。
AMAPはただ安くて新鮮な生産物を買うのが目的ではなく、農業従事者が置かれている現状を理解し、自分たちで地域の小規模農家を守るぞ!という強い意気込みで生産者と消費者を繋げる直売システムです。
AMAPの仕組み
モデルとなったのは以外にも日本有機農業研究会が発表した「生産者と消費者の提携の方法」なのですが、フランスでは少しシステムが変わってきます。
例えば日本の直売では、だれでも農産物を購入する事ができます。
しかしフランスの場合、生産物の直売を希望する場合は事前の申し込みが必要なので、自宅近くのAMAPを見つけ加入しなければ、この直売システムを利用する事ができません。
AMAPはボランティアで運営されている窓口のようなもので、ここを通して同じ地域に住む生産者と購入者を結び付けくれます。現在では至るところでAMAPが盛んになっているので、どこに住んでいても自宅近くには必ず一つのAMAPを見つけることができます。
加入後、消費者と生産者が毎週もしくは隔週など、決められた日時に指定された広場などで落合い、生産者から生産物を直接購入する事ができますが、パリなどの大都市では申し込みが殺到していて、加入までに時間がかかる場合がああります。
AMAPで買えるもの
パリ15区のAMAPの場合
購入には待ち合わせ場所と日時が指定されていたり、配達してくれる場合もあったりと、各AMAPによって対応は違ってきますが、とあるパリ15区のAMAPの例を紹介します。
1年契約制
初年度の会費 25ユーロ
次年度から 15ユーロ
- 野菜とフルーツの盛り合わせ 11,3ユーロ
- 野菜とフルーツの盛り合わせ+ビオの卵(6個入り)13,6ユーロ
受け取りは毎週火曜日 19時00分から21時00分
1年のうち、夏のバカンスを除く44週稼働
このように、契約内容は各地域のAMAPによって異なりますが、同AMAP内には契約農家が複数いるので、それぞれの生産者と契約をして購入する事も可能です。
もし不在で商品を受け取りに行けない場合は事前に連絡をするなど最低限のモラルも契約に含まれている場合があります。
消費者のメリット
- 当日収穫した新鮮な野菜を買える
- 一定価格で季節の野菜を食べれる
- 生産者と直接会話する事ができる
- 農家を支援する事ができる
生産者のメリット
- 次期の収穫費用を事前に受け取る事が出来る
- 市場に出す際の生産物の基準(規格外野菜など)がないので破棄を抑えられる
- 売り残りなど無駄にする商品がない
- 直接消費者に販売できるのでコミッションがなく経済的
まとめ
この直売システムがあれば、農家が農産物など破棄することもなく、市場で必要なコミッションも発生しないので、結果的に新鮮なものがスーパーと同等の値段で買う事が出来ます!
自国の自給率を守る!農業従事者を支援する取り組みは、どの国にとっても最大の課題なのではないでしょうか。
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