フランスでの発達障害児の子育て。支援に必要な最初の一歩【診断】までが恐ろしく長い

フランス現地情報

今回は子育てについて。

初めてのお子さんを海外で育てるって大変ですよね。

慣れない土地での子育ては孤独を生みやすくなるので、日本人ママさんたちと支え合っている方も多いんではないかと思います。

幸いにも私が住んでいるフランスの子育て支援はとても良いし、社会の理解もある。

パートナーと一緒に子育てや家事を共有しているので、働くママさんが圧倒的に多いのです。


とても子育てしやすい国で恵まれていると思うのですが、

それは健常児の子育てに限った話。

自閉症・ADHDなどの発達障害児や障害を持つお子さんの子育てには向いていない国かもしれません。


よくテレビで「海外の子育て支援はこんなに進んでいる‼」と日本と比較し、海外で子育てをしたい!と思う方もいらっしゃいますが、今回はかなりシビアなお話。

お子さんの発達に「アレっ」と心配をされている方で、

  • パートナーがフランス人の方。
  • フランスに住んでいる方。
  • フランスに移住予定の方。

こういった方に向けて。

特にフランスでお子さんに加配や支援級・支援学校を考えている方、

義務教育であっても、診断⇒申請⇒決定⇒通知をもらってからしか「加配・支援級・支援学校」の申し込みができません。

申し込みから支援学級や支援学校では極端に座席数が少ないため、実際に通えるようになるまでに2年ほど待つことになります…

診断が遅れると必要な支援(学校の加配や支援級・支援学校の進路)も遅れるという歯がゆい状態が生まれます。

今回は フランスの障害児支援に必要な最初の第一歩【診断】についてお話します。

フランスで発達障害児の子育て「診断がつくまでが長い」

元気いっぱいでよく笑うし可愛いけれども

子育てしにくい…

話を聞いているのかどうかも分からないし…

あれっ?もしかして?

と、我が子の事をお医者さんや専門機関に相談に行きたい。

そう思う両親がほとんどだと思いますが、

お医者さん探しの段階から苦労するのがフランスです。

フランスでは予約の取れる専門医がなかなか見つからないので、 診断がつくまでとにかく長がく待つことになります。

もし診断がついたとしても、果たして支援を本当に受けれるか?

必要な支援とは?
  • 加配を頼む
  • 支援級・支援学校などに行く
  • 教育手当を受け取る
  • 障害者手帳を受け取る

上に当てはまる必要な支援とは公的支援になりますが、一部は義務教育であっても、例え「診断済み」の子供であっても、すべての支援を受けれるわけではないです。

診断が付いたら支援をうけれるのか?

それは別問題になるのです。

支援を受けれるか受けれないのか?

医者の正式な診断が無いと知ることさえできません…

乳幼児健康診査 「集団検診」がないのでアドバイスをもらえない

まず日本とフランスの大きな違いといえば、 フランスには各市町村が行う発達検診はありません。なのでもちろん乳幼児を対象とした集団検診がありません。

日本ならば 1歳半・3歳・入学前などの集団発達検査があるので、その場で保健師さんに相談することもできますよね。

日本の子育てのメリットは、お母さんがお子さんの発達の遅れに気づかなかった場合でも、集団検診の場で保健師さんからアドバイスを受けれるので、早い段階で療育に繋げていくことが可能ですが、

フランスでは集団の発達検査がないので、親が子供の発達の遅れに気づかなかった場合は、誰からも指摘がありません。

もしお母さんが働いていて保育園に通っているのであれば、保育士の方が言ってくれる可能性もありますが絶対ではないです。

グレーゾーンには診断がつかない

日本では「(発達が)グレーゾーン」と言われる子供たちが大勢いて療育を受けている子もいますよね。

育てにくい子と思っていてもまさか障害が有る無しの「グレーゾーン」と言われると思っていなかったお母さんも沢山いるのではと思います。

まだ年齢が低くて診断が難しい「グレーゾーン」の子供でも早めに療育を受けることができるのが日本ですが、

フランスではグレーゾーンの子には診断がつかないので、必要な支援はほぼ受ける事ができません。

息子(9歳)のクラスには明らかに授業についていけない子供が5人いて、そのうちの1人しか加配がついていません。

加配が付いている1人の子は軽度~中程度の障害を持っていますが、支援級の席が空いておらず普通級に残っているため加配が付いてますが、残りの4人は診断が無いため支援なしです。

なので加配の先生1人が5人の子供を見ています。


もちろん○歳検診でみっちり検査する先生もいますが、丁寧に診察してくれる先生は「稀」です。

大体そういった先生は人気なので新規患者を受け付けない場合もあり、巡り合うことができません。

なので発達の遅れがグレーソーン~軽度の子どもであれば様子見になる事もあるので、まずは専門医への紹介状を書いてくれる先生探しから始まる例もあります。

発達の遅れは「2か国環境 」が影響してると思われ、様子見になる…

日仏家庭のお子さんや、日本人のお子さんは、言葉が遅れていたとしても「2か国語環境」が影響していると思われるので、言葉が遅れて当然と思われています。

こちらから「どういったところに不安がある」という事をハッキリと言葉にして伝えないと専門医への紹介状はもらえません。

例え口に出してハッキリと発達の遅れを話したとしても、

様子見で終わることが多く言語聴覚士さんへの紹介状どまりになります。

いくら親が何かが違うと確信していても医者が様子見と言えばそれまでなので、

2歳代から幼稚園の入学に向けて早めの手配をしたくてもできない場合があります。



フランスの予防接種「義務」について

フランスでは発達障害を診断できる専門医の予約が取れない

ようやく専門医への紹介状を手に入れたとしても、

フランスでは専門医に予約したくても予約できない…

ものすごく大きな「壁」があります。


もし無事に担当医から「紹介状」をもらったとしても、

子供の障害の有り無しを診断できる専門医は限られています。

自閉症や発達障害を診断できる専門医

  • Psychiatre「精神科医」
  • Neuropédiatre「神経小児科医」

自閉症や発達障害の診断ができる医師の数が少ない。圧倒的に足りていません。

予約が半年後に取れればラッキーな方で、

キャンセルのリスト待ちが延々と続きます。


電話した時に予約日時を即答してくれる事はラッキーなこと、珍しい事だと考えてください。

一般の大きな病院であれば、予約をするときに今までの「検査内容」「紹介状」そして、いくつかの必要書類を指定される場合があります。その書類を一式送った後に病院側が予約を受けるか断るかの審査があり、後日お手紙で返事が来るパターンが多いです

そこから予約が取れるかどうかのお返事をもらうまでに1~2か月くらいかかり、お手紙に記載された指定日までひたすら待つことになります。

こちら側にはチョイスがありません。


もし開業医の先生でも同じで人気の先生は新規の患者を受け付けておらず、一年待ちなどもザラにあります。

開業したばかりの先生を見つけて電話するのが一番の得策ではないかと思うくらい予約がとれません…

リストを作って片っ端から電話していく感じになります。

そしてとりあえず書類を送ってと言われたら送る。

送ったとしても予約が取れるわけでないので、同時に複数の専門医にコンタクト取ることをお勧めします。

フランスで専門医がなかなか見つからないお話。

療育施設だと予約は早く取れるのか?

療育施設で発達障害の診断を受けたい場合、専門医がいる場合もあるので未診断であれば予約は早めにとれることがあります。

フランスの療育施設には、

  • 「SESSAD」(Le Service d’Education Spéciale et de Soins àDomicile)
  • 「CMPP(E)」(Le centre médico psycho )
  • 「CAMPS」(Le centre dʼ aide médico-sociale précoce)

などがありますが、「CMPP(E)」「CAMPS」では診断可能な場合があります。

もし幼稚園や学校に通っている子であれば、担任の先生から連絡をしてもらうと早めに予約取ってくれる場合があります。


ただ国が運営している療育施設は無料ですが、そこで働いている専門家の人たちが障害の特性を理解していなかったり、療育とは程遠い支援をしているので利用者の意見は賛否両論です。医師も療育者も当たりはずれが多いです。

アメリカンホスピタルで発達障害の診断はできるか?

駐在の日本人の方はアメホスに行く場合がほとんどだと思いますが、

アメホスにも診断をしてくれる専門医がいるので、日本人のアシスタントの方に聞いてもらうのが一番ストレスなくよいと思います。

フランス語で予約の電話した場合は、紹介所のほかにも先生宛のお手紙が個別に必要な場合があり、そこからお返事待ちになります。

フランスでの発達障害の診断方法は?

病院か開業医の先生を選ぶかで大きく変わります。

開業医の先生の場合、最初の予約では1時間ほどで問診やちょっとしたテストと身体検査をすることがほとんどです。

それでいきなり診断をつけるところもありますし、

いくつかの病院では、言語聴覚士や心理士の先生が待機していて、みっちり検査してくれるところもあります。

発達検査にプラスして自閉症有無などの必要検査を2日かけてじっくりと検査する病院もありますが、1年ほど待たなければいけません。


ちなみに我が家の長男はかなりのグレーだったので、

8人の専門医の方に会いましたが、どこも1時間ほどの簡単な内容で診断を決めていてmそれ以上の支援方法を教えてもらえなかった事がありました。結果的に8名中3名が【誤診断】で、残りは【分からない】といった散々な結果しかもらえなかった過去があります。

一番正確なのは心理士が行うウィスクと言語聴覚士が数時間かけて行った言語テストだったので、フランスでの発達障害の検査はかなりみっちり検査してくれるところ以外は信頼ならないものだと実感してます。

診断を待つ間にできること

専門医探し、最初のランデブーがとにかく長いフランスですが、

ぼーっと待つわけにはいきません。

待ちの時間はとてつもなく長いです。(最長1年)

この間、行動を起こさなければもったいない。

子供は無限の可能性を秘めているし、年齢が早ければ早いほど必要な支援(療育)が吸収できます。

もし言葉が遅いなどの不安がある場合は、

とりあえずかかりつけの医師に行って、必要な支援だと思われる各療育のスペシャリストへの紹介状(Ordonnance)を書いてもらってください。

これは一般医でも書いてくれるので医師が納得すれば即座にもらうことができます。

特に言語聴覚士は医師のOrdonnanceが必要です。

  • 言語聴覚士(Orthophoniste)
  • 作業療法士(Psychomotricien 、手先の不器用さが気になるときはErgothérapiでも可)
  • 心理カウンセラー(Psychologue)

なぜすぐに行動を起こさなければいけないかというと、

ここも待ち時間が長いからです。

予約がスムーズに取れる人はコネがある人で、

残りの人たちは、とりあえず片っ端から電話する、キャンセル待ちのリストに載せてもらう。

この流れを繰り返さなければいけません。

キャンセル待ちのリストに載った後も、キャンセル待ちが空きそうか?

一か月毎に、どうなったかの伺いの連絡をしなければキャンセル待ちの場所は動きません。

新しく開業した人でなければどこも一杯なので、

キャンセル待ちを数件確保することをお勧めします。

まとめ

フランスでの発達検査。

正確な診断を知りたい場合は、かなりの時間を待つことになりますが、

予約したい病院があっても断られることも多々あります。

特に加配や支援級・支援学校の手配は、診断⇒申請⇒決定⇒通知の後しか申し込みが出来ないので、診断が遅れると必要な支援も遅れるという歯がゆい状態が生まれます。



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