フランスの学校のコロナ感染症対策が刑務所みたいにストイック

フランス現地情報

フランスの学校再開、早いところでは今週(5月11日の週)から始まりましたが、学校でのコロナウィルス感染症対策があまりにもストイックすぎて、学校生活がまるで刑務所のようです。

フランスでは外出制限が緩和されてから自由に繰り出している大人もいますが、子供たちの学校生活は軍隊の様に厳しく楽しみが全くありません。

フランスの学校のコロナ感染症対策がストイック

「C’était trop compliqué!(複雑すぎ!)」

といいながら子供の学校行きをキャンセルする親もいるほど、厳しい対策になっています。学校はこのプロトコルに基づいてではないと再開できないので、もしこの対策に不安があるようであれば学校に行かせずに自宅学習を続けていく事になります。

学校・親、そして子供自身も感染症リスク対策と社会的距離を意識して、すべてのルールを把握しなければいけないと学校からのお知らせを受け取った時、正直家の子供には厳しすぎた為、学校に行かせず自宅学習を続ける事に決めました。

子供の通う学校では以下のような対策がとられますが、ほぼすべてのフランスの学校でも同じような対策になっています。


▼小さい子供には厳しすぎるフランスのコロナ感染症対策

登校前のルーティン。毎日必ず体温を測る

子供が学校に行く前に、親は必ず以下の事を毎日確認する必要があります。

  • 体温を測る。(37,8°cを超えた場合は学校に行けない)
  • 子供にお友達や先生と1m以上の距離をあける事、手洗いを徹底するようになど、学校での約束事を繰り返し教える。
  • 忘れ物が無いか必ず確認する。(学校では学校の教材なども含めて物の貸し借りが禁止になった)
  • 水筒とポケットティッシュを毎日準備する。
  • 髪の毛は結ぶ。
  • 時計などのアクセサリーは手洗いの邪魔になるので控える。

登下校について

  • 児童数の制限をするために登下校時間は厳守。遅刻したら学校に入る事ができない。
  • 学校へのアクセス場所と時間はクラスによって3か所に分ける。
  • その日の出席リストに名前が無い場合はいかなる理由でも学校では受け付けない。
  • もし自宅学習を辞めて学校に通いたい場合は予定日の1週間前までに連絡する。(在籍する生徒数に応じてグループ編成が必要な為)
  • 付き添いの保護者は一人だけ、他の親同士も社会的距離を取る。
  • 保護者は学校の敷地に入らない。


▼例えばCP(小1)とCM1(小4)の兄弟がいる我が家の場合、次男は校庭の門から、長男は学校の正面玄関から学校に入ることになる。

学校・教室の状態

  • 学校は除菌清掃される。
  • クラスでの机の配置は4㎡ごと。(もしくは15人以下)
  • 学校のトイレは昼・夜に掃除する。
  • 学校全体は毎晩掃除する。
  • クラスの窓は開けたまま換気された状態で授業を行う
  • 校内で行き来するときの接触を避けるため、廊下などにはステッカーなどで進む方向を示す。


▼かなり寂しい教室。1クラスが5~6人になる場合も。


▼ステッカーを利用して待つ場所や進む方向が床に記される

教室の入退室とクラスの規則について

  • 一クラスを2つのグループに分ける。他グループとの接触を避ける
  • 同グループは常に同じ教室を利用する。
  • 各教室内で使用する机は決まっている。
  • 各クラスの入退室前には必ず全員で手洗いをする。手洗い場前の床には待つ場所が記されているので、必ずその場で順番を待つ。グループ全員が手洗いを済ませた後でしかクラスを離れる事ができない
  • 忘れ物をしても文具の貸し借りはできない。
  • 学校の用具・機材などの利用も禁止。

手洗いの徹底をさせる

以下の状況で手洗いをする。(手洗い時には必ず石鹸を使用する、もしくは殺菌ジェルを使用。)

  • 朝の登校後、学校に着いてすぐ。
  • 各教室に入る前。(例えばレクレーションの後など)
  • 昼食の前後、オヤツ前後。
  • トイレに行く前後。
  • 鼻を噛んだ後、咳やくしゃみをした後。
  • 学校を出る前。家に着いた直後も。

肌の弱い子は可哀そうなくらい肌がガサガサになるかもしれません…

休憩時間(レクレーション)・体育

▼子供たちは枠線の外に出られない…(ベルギーに違いトゥルコアンの幼稚園)

学校からの連絡では、休憩時間は自由に遊ぶ時間が無くなり(禁止されている)、新鮮な空気を吸うだけに外に出るだけになるとの事。

  • 校庭には、2クラス(2グループ)のレクレーションエリアを作る。(同じグループ同士でしか活動できない)
  • レクレーション・体育は一定の間隔を空けて行う
  • 鬼ごっこやタッチ鬼のような、体に触れる遊びは一切禁止
  • ボール・縄跳び・卓球などの利用禁止。(遊びの道具・遊具の利用もできない)
  • 図書館での本の貸し借りには制限がある。使用前・後には除菌する。

給食について

フランスでは食堂で昼食やおやつを食べるので、食堂を利用する人数も制限されます。

  • 列を作らない
  • 向かい合って座らない(正面には誰もいないようにするなど一定以上の間隔を空ける)
  • トレー・皿・カトラリー・水を入れるピッチャーなど、他の人に配膳されたものは触らない・食べない。

もし食堂でのリスク回避が難しいのであれば、教室で食べる可能性もあり。

学校を休む場合、子供が学校で体調を崩した場合

  • もし学校を休む場合は必ず教師に連絡。
  • 子供が学校で体調を崩した場合はマスクを着用させ隔離する。その場合、保護者は速やかに迎えに行かなければいけない。もし連絡がつかない、1時間半経過しても保護者が不在の場合は、SAMU(緊急)を呼び、該当クラスの保護者全員に通知する。
  • もし教師が休む場合は該当クラスの児童は学校に行けない。

その他の禁止・注意事項

  • 11歳以下の子供はマスクは義務ではない。
  • 教師はマスクを着けて授業を行う。(義務)
  • 授業が始まった後、教師はドアを開けて教室の外に出る事ができない。
  • すべてのゲームは禁止。
  • 学童は夕方の16時30~17時30まで。朝は無い。
  • 学校で使用している教材や文具は家に持ち帰らない。
  • 以上の事を守れなかった場合は強制的に自宅学習に切り替えてもらう。

まとめ

外出制限が緩和されてから学校再開まで。通っている教育区や学校によって感染症対策は違うと思いますが、個人的にとても厳しいなと思う事は、レクレーションや給食の時間です。

今まで通り自由に遊ぶことが出来なくなるし、友達と輪になって給食を食べる事もできなくなります。

子供の社会性を伸ばすにはお友達との関りが必要不可欠なのに一緒に遊ぶことが出来ない、特に保育園や幼稚園に通っている幼い子供は感染リスクよりも一緒に遊びたいという気持ちが強いのではないかと思います。

「マスクを着用し子供達と最低1mの距離をあけて授業を行うのが難しい。学校は子供の感染リスクを第一に考えるだけで精一杯。子供を預かるだけの場所になるので出来るだけお家で見てあげて」と言っていた学校の先生。その意味が痛いほどわかります。