【フランス】中学生の学力低下問題。1/6人の音読レベルが小学3年生並み

【フランス】中学生の学力低下問題。1/6人の音読レベルが小学3年生並み教育・子育て・バイリンガル

中学生に限った話ではないけれども、フランスではずっと学力低下問題が叫ばれています。

フランス学力低下の原因

問題になっているのは、国語力だけでなく数学力についても同様の課題があるのだけれども、数学の授業ノートを見ていると失笑する内容が多く、数学嫌いの子供は辛いだろうな…と感じるものがあったり…

低学年のフランス語の授業でさえも、主語・動詞・述語・冠詞を文章中から見つける文法の訓練ばかりをしていて、読書の楽しさを教えることなく学年を終了したりと、子供の勉強嫌いをさらに推し進めている指導内容が多いと感じます。

フランスの教育番組でさえも、テンポが速すぎて子供達が自分の頭で考える余裕などなく、次々とドリル問題形式で授業が進んでいくので、その放送回を見て我が家は視聴するのを辞めてしまったのですが…

何故、この授業内容で学力が伸びると思っているのか理解できないし、酷い場合は仮病を使い来ない先生や、授業のテキストをネットから引っ張って代用したりと、フランスの場合はまずはそこから詰めていった方がよいのでは?と個人的に思っていたりもします。

フランスの小学校は週に24時間の授業、近所の中学校は週に26時間と授業数が少ない事を例にあげ、このゆとり教育こそが学力低下の原因だと言っている人もいるけれども、実はそれだけが原因ではなく、

先生や親の教育の質が落ちている

教える気・ヤル気のない先生…

参考にしているのがネット資料ばかりで授業がつまらない…

貧困地域に住む子供の学力低下が著しくフランス全体の学力低下を推し進めている原因になっていたり、とても複雑です。

フランス教育省は小学1・2年生を対象に、国家ぐるみの学力テストを導入する苦肉の策を講じているけれども「あはは!そんなんじゃ子供の学力なんて上がりませんわ!問題はもっと別の所にあるのよ!」なんて陰で思いながらフランスで子育てしているご両親も沢山いらっしゃるのではないかなと感じています。

フランス中学生の学力低下。1/6人の音読レベルが小学3年生並み

▼この間、何気なく子供向け新聞をチェックしていたら、耳が痛くなるタイトルが目に飛び込んできました。

フランスの中学1年生の半数は音読が上手くできない。
Mon quotidien n7290より

La moitié des élèves de 6e ne savent pas bien lire un texte à voix haute

(中学1年生の半数は音読が上手くできない。)

Mon quotidien

このタイトルが気になって記事を読み進んでいく内に、

絶望というか、そこまで酷いのか…

というような衝撃を受けた内容でした。

フランス語の音読レベルチェック

この記事の中では【1分間でどれくらいの単語数を読めるのか?】

大きな声で句読点を尊重しながら音読する【音読レベルチェックの簡単なテスト法】が紹介されていました。

▼フランスの中学1年生は「6e」といい、日本の小学6年生に相当するのですが、以下のテキストは「6e」の前期に行われた学力テストのものです。

フランス語の音読レベルチェック
Mon quotidien n7290より

「6e」中学1年生の音読力。平均は1分間で124単語

800の中学校で行われたテスト結果によると、平均的な6e(小学校6年生)のレベルは、1分間で124単語を音読できるようです。

ただこの全体的な試験結果を調べてみると、とてもガッカリする結果になったようで…

フランスの6e(小学校6年生)の音読力チェック
  • CM2(小学校5年生)の平均120単語よりも、たった4単語多いだけ。
  • 1/2の生徒は1分間で120単語以上を読める。
  • 1/3の生徒は1分間で90~120単語を読む。(小学3後半~5年生)
  • 1/6の生徒は1分間で90単語を読む。(小学3年生後半)


テストを受けた1/6の生徒の音読力は、小学校3年生の後期レベルと等しい事が分かりました。

2020年は外出制限の影響で学校閉鎖の影響もありますが、その他ポイントとしては、

女子のほうが男子よりも結果が良く、公立校よりも私立校に通う生徒の方が良い結果が得られたのだそうです。


▼このテーマの最後には、フランス語を担当する先生の言葉が紹介されていて、

Dans ma classe, le niveau est encore plus bas, explique Émilie, prof de français en Seine-Saint-Denis. Mes élèves ont lu en moyenne 105 mots en une minute. Et parmi eux, 8 (1 élève sur 3) ont lu moins
de 90 mots.» Plusieurs raisons expliquent ces difficultés, selon elle : «Les élèves lisent de moins en moins. Ils ont perdu l’habitude et le plaisir de lire. Cela est dû aux écrans, mais pas seulement. Je pense que les parents aussi lisent moins et transmettent moins ce plaisir aux enfants.

Mon quotidien n7290より

Seine-Saint-Denis(移民が多く、フランスでもトップレベルで治安が悪い地域)の学校に勤務する先生のようですが、彼女の担当クラスの生徒は平均よりもさらに低い105単語。

本を読む機会の低下、スマホ・タブレットなどの影響だけではなく、親の影響(読書量が少ない)で、本を読む習慣が身についておらず、読書を楽しむ事の低下にも繋がっている。と締めくくられていました。

おわりに

フランスの場合、子供の学力低下の要因は山ほどありますが、学校だけが原因ではなく、経済的不平等がそのまま教育レベルにも影響していて、国の政策が急がれている所です。


▼貧困などの社会的背景によって子供の教育レベルに格差が出ないように取り組んでいる優先教育政策について

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