フランスのペット事情。毎年10万匹の犬・猫をバカンス前に捨てる国はどう変わる?

毎年10万匹の犬・猫の多くはバカンス前に捨てられる法律関係・規則
毎年10万匹の犬・猫の多くはバカンス前に捨てられる

フランスにいると、飼い主がカフェを飲んでいる間、おとなしくテーブル下で待つワンちゃん達だったり、レストラン・地下鉄・お店の中、街のいたるところで飼い主と一緒に散歩しているワンちゃん達を見かけると思います。

家族から愛されている動物達の表情は穏やかで、幸せな表情をしていますよね。

ですが、

飼い主と深い信頼関係を築いているペットもいれば、

物のように捨てられてしまうペットがいるのも事実。

今回はフランスのペット事情のお話です。

フランスはペットの飼育放棄が多い

犬・猫・ハムスタ―・金魚・小鳥・etc…

フランスの約半数の世帯はペットと共に暮らしており、6,500万匹のペットが飼い主と暮らしています。

ですが…実はフランス…

ペットの飼育放棄が多い国でもあるのです。

毎年10万匹のペットが捨てられる

『人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト』によると、日本では1年間で約10万6百頭の犬猫が保健所や動物愛護センター等に引き取られたとありましたが、フランスも日本同様、とても悲しいペット事情があります。

なぜなら、フランスでも毎年10万匹の犬・猫が捨てられているからです。

ただフランスの人口は約6700万人くらい。日本の人口よりも半分とちょっと多いくらいです。日本でも捨てられている犬猫は多いのですが、人口比で考えると、フランスでは動物を捨てている人の割合が非常に高いのではないでしょうか。

それ故に、動物を保護する施設は常に飽和状態で、施設では新しい飼い主を求めた動物たちで溢れかえっています。

動物保護・救助活動を行うSPA( Société Protectrice des Animaux )は、フランスを飼育放棄のパルム・ドールと揶揄し、ヨーロッパその他の国からも飼育放棄について言及されることが多いのです。

大多数のペットはバカンス時期に捨てられる

なぜフランスではこんなにもペットが捨てられてしまうのでしょうか?

それは、バカンスにペットを連れて行けない…

こんな身勝手な理由が一番多くあげられています。

特に長期休暇を取りやすい夏のバカンス手前、7月に捨てられる犬・猫が一番多いのだそう。


動物保護・救助活動を行うSPA(Société Protectrice des Animaux) によると、2018年夏、捨てられたペットの数が過去最多になった事も明らかになりました。

SPAが保護した動物だけでも4万2千匹。その中の1万匹は夏のバカンス時期に捨てられています。

30 millions d’amis 調べでは、フランス全体で捨てられるペット10万匹のうち、およそ6万匹が夏のバカンス前に捨てられていたのだそうです。

フランスのペット事情

日本でも動物愛護法が改正され、犬猫が販売される日齢が生後56日過ぎと規制出来るようになったり、繁殖業者にマイクロチップ装着の義務化を定めたり、動物虐待の罰則が強化されたり、動物の殺処分を減らすため各自治体で取り組みを進めていたりと、少しづつですが状況が改善されています。

ですが日本とフランスを比べてみると、フランスのペット事情はまだ良い環境なのではないかと個人的に思うのです。

酷い状況下で繁殖させられる動物や飼育放棄をしている飼い主などから、少しでも多くの動物たちを救うため、意識の持ち方や取り組みは高くなりつつあるので、少しづつ法で改正され施行されている途中です。

日本でも見習いたいところがあるので、ここ最近フランスのペット事情を確認してみましょう。

飼育放棄は虐待とみなされ有罪

一緒に暮らしているペットの飼育を放棄し、道端や森に捨てる…

こういった行為は、動物虐待や劣悪な環境での飼育と同等の罪に問われます。

その場合、

最高で2年の禁固刑・30,000ユーロの罰金が科せられます。

そして、2度と動物を持つことができません。

また、犬を紐でつないだままにしてベランダに放置している。

直接的な暴力でなくても、適切な環境で動物を育てていないと判断され通報されれば、刑法もしくは罰金が課せられる事もあります。

悪質なペットショップは早い段階で通報される

私が日本にいた12年前、劣悪な環境のペットショップが大通りで堂々と営業していたり、宣伝車で街中を巡回していたりと滅茶苦茶でしたが、こういったペットショップは直ぐに通報されるので、必ず調査が入ります。

悪質なペットショップ、劣悪な環境で動物を強制的に繁殖させるブリーダーは、もちろん違法です。

以前「 早くなくなってしまえ!」 と思っていたパリのペットショップに大規模な捜査が決行され、多くの獣医やSPAの関係者が動物の健康状態やワクチン接種の有無、どこで産まれたのか?すべて検査し保護していました。

ペットショップに限らず、動物園や農園にいる動物など、一般に開放しているようなところも同じで、なにかしらの違反が見つかった場合、オーナーはもちろん従業員も拘束される場合があります。

▼フランスの場合、早い段階で通報されることが多いと感じますが、救助活動を行っているSPAは機動隊と連携して、1年間だけで13,400件以上の調査を実施しています。

アメリカやイギリスと比べると動物愛護は遅れている

カリフォルニア州ではペットショップで繁殖された動物の販売が禁止。

そしてイギリスでも、生後6か月未満の子犬・子猫の販売を禁止。

フランスは、アメリカやイギリスと比べると、動物愛護はかなり遅れています。

悪質なペットショップを街で見つければ直ぐに警察に通報する事ができますが、悪徳ブリーダーによる残酷な繁殖は、なかなか発覚しづらいのが現状です。

▼フランスにもまだまだ「悪徳ブリーダー」はいます。


ただ、ペットショップで動物を買うよりも、シェルターにいる動物を家族に迎える家庭も多く、残酷な環境で繁殖させられた動物の売買を止めるような関心は高まりつつあります。

【new!】ペットショップでの犬猫販売が禁止に!

そしてついに!フランスでもペットショップでの犬猫販売がまもなく禁止になります。

SPAは、動物虐待市場に終止符を打つために、ペットショップでの動物の販売禁止とオンライン販売の厳格な規制を求めていましたが、ようやくフランスの国会はこの規制を採決。

2024年からフランスではペットショップで犬猫の販売が禁止となる事が決まりました!

この採決はペットショップだけではなく、プロではないブリーダーも対象になります。なので優良ブリーダーと呼ぶに相応しくない人達は、今後ネットを使用した犬猫の販売が一切できません。

今後は、優良(プロの)ブリーダーから犬・猫を購入する、もしくは保護施設・シェルターなどから譲り受けるの2択になります。

▼SPAなどの動物愛護団体の要請がようやく叶った!

賃貸でもペットと住める権利がある

ちょっとだけ日本と違うところ。

もしあなたがフランスでアパートを借りていて、

犬が欲しい。

そう思った時、

ペットを飼う自由はアパートの借り主にあるので、家主がこれを拒否する事ができません。

家主が拒否できる場合は、次のような条件の時だけです。

  • 保護対象になっている動物
  • カテゴリー1に分類されている犬( 土佐犬・ボーアボール・ピットブル)
  • その他危険と判断される動物
  • バカンス用などの短期貸しの物件

※飼っているペットがアパートを損傷した場合は、家主は補償を求める権利があります。

フランスのペット事情、まとめ

バカンス前に捨てられてしまうペットたち。

ひどい例では、高速道路の休憩ポイントに置き去りにされてしまう犬や猫もいます。

ネットの普及によって、捨てられてしまったペットの新しい家族探しが以前より良くなったという見方もありますが、動物を一時保護するシェルターは常に飽和状態です。

フランスで動物保護を行っている団体で広く知られているのは
SPA( Société Protectrice des Animaux )
30 millions d’amis
など、

これらの団体では動物たちのワクチンの接種や健康状態を管理しながらも 、新しい家族との生活が上手く行くように躾やトイレ訓練したりと様々な活動を行っています。

シェルターではお利口で人懐っこい犬や猫も多く、性格を知ったうえで動物たちを譲りうける事もできます。

もし新しい家族をさがしているかた、ペットショップではなくこういった団体も視野にいれてみてはどうでしょうか?

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