フランスの小学生向け新聞の一面が「児童性的虐待」だった

フランスの小学生向け新聞の一面が「児童性的虐待」だった教育・子育て・バイリンガル

世界中で起こっている出来事やニュースを絵や写真と一緒に分かり易いテキストで解説している子供向け新聞がフランスにはありますが、我が家の息子2人も、6~10歳の小学生対象バージョン「Le Petit Quotidien」を愛読しています。

毎日の10分読書を習慣付けて、より楽しく新聞を読むことを目的としている新聞なので、通常ならば、子供だけで読んでも全く問題はないのですが、

▼ある日の新聞の裏面に下のような注意書きを見つけました。

小学生用の新聞に書かれた保護者へのメッセージ。
Le Petit Quotidien「保護者・先生へのお知らせ」

実はこの新聞を受け取った12月上旬、元外科医のJoël Le Scouarnec被告が性的虐待と小児性愛行為の容疑で複数の人々が起訴していて、その訴訟が起こっていた週だったのです。

それを受けて「Le Petit Quotidien」でも12月8日付けの新聞で「児童性的虐待」を一面で取り上げるので、この回だけは決して子供だけで新聞を見ないように、大人が必ず付き添うようにと、保護者への注意書きがされていたのでした。

児童性的虐待からどう子供を守るか?を示したフランスの子供新聞

「児童性的虐待」を一面で取り上げた「Le Petit Quotidien」は6~10歳用の新聞
「児童性的虐待」を一面で取り上げた「Le Petit Quotidien」は6~10歳用の新聞

そもそもなぜこんな重いテーマを子供向け新聞で取り上げるのだろう…

と思っていたのだけど、児童性的虐待の被害者は子供向け新聞の読者と同年齢であり、正しい情報の提供は子供の身を守る事、そして勇気をだして被害を話してくれるように手助けをするためだと書かれていました。

何故なら、性的虐待に遭う子供達は、加害者から口止めをされていたり、恥ずかしい事だと認識していたり、実親や親族などの近い人から虐待をされていたりと、周りの人に相談できない状況にあるからです。

新聞を開いてみると、被害のうちの一つのケースが5つのパートに分けて紹介されていて、ブルー色枠内には、読者に覚えておいて欲しい情報が書かれていました。

▼被害者の一人。隣に住む当時6歳の女の子。
数々の疑惑が浮上するきっかけとなった事件の詳細が紹介されていた。

被告と被害者の女の子の両親は仲が良かったため「嫌!」と言えなかったケース。
被告に口止めされていた事もあり、涙ながらに両親に打ち明ける様子が書かれていた。

▼ブルーの枠内には小学生の読者に覚えておいて欲しい情報も添えていました。

性的虐待に遭いそうになった時、覚えて欲しい情報とやるべき行動について。
ブルーの枠内には読者に覚えておいて欲しい情報

ブルー内の情報には、

  • もし被害に遭っている場合は早く打ち明ける事。例え加害者が親族などであったとしても助けを求める事。
  • 親・学校の先生・病院の先生・緊急電話など、助けを求める人について。
  • 加害者がやっている事は犯罪である事。
  • 被害に遭った事を恥ずかしいと思わなくていい事。
  • 胸・お尻・性器を触る以外にも、自身の大事な部位を触るように頼んだり、加害者の体や卑猥な写真を見るように強要する事も性的虐待に含まれる事。
  • 男の子も被害に遭う事。
  • 加害者は親族や実の親、学校の先生などとても身近な人の場合もある事。
  • 加害者は嘘つきである事。(秘密だよとか優しく口止めする)
  • ノーという権利がある事。断る権利がある事。
  • 加害者は刑務所に行きカウンセリングを受ける必要がある事。加害者も幼い頃に同じような経験をして育った人が多い事。
  • 見知らぬ人について行ったりしない事、行動は慎重に。

をという事が書かれていました。

「知らない人の車に乗っちゃダメだよ」とか、「知らない人のお家について行ってはダメ」だと言い聞かせる事はしても、性的虐待について深く話す事はなかなかないと思います。

ですが、こういった行為は立派な犯罪である事。なので被害に遭っても恥ずかしいからと一人で悩む必要もない事。いくら子供の体でも大人が好きなようには出来ない事。嫌な事はノーという事。

子供が勇気をだして被害を告白しやすくするように、普段からちょっとづつ話をしておく事も大事なのではと思いました。

この新聞では、被害者の女の子が母親に打ち明けるシーンで「勇気を出して打ち明けてくれてありがとう、あなたの言う通り、彼はあなたに虐待をしてるのよ。警察に行くからね。」と100%子供に寄り添って母親が話を聞いてる様子や、父親が性的虐待と愛情の違いについて説明している様子が書かれていましたが、両親も混乱しやすい状況であるのに乱さず落ち着いて説明するだけでも被害に遭った子供の心のケアになるのだと確信し、親のあり方を学んだ気がします。

おわりに

家は男の子2人で下の子は日本の小学1年生。毎回この新聞を楽しみにしているのですが、この回を話すかどうかをちょっぴり悩みましたが、結果的にちょっと話しとこうかという事で一緒に読んでみました。

しかし1つ目のパートを言いかけた瞬間から、2人の顔が絶望的に落ち込んでいて「こんなことが現実にあるなんて!」とショックを受けてしまい、旦那の口からも言いづらいワードがあったので言えずに途中で辞めてしました。

しかし、自分が嫌な事や間違っている事は「ノー」と言う勇気を持つようにと、とりあえず教えていくところから始めていく予定です。

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