離婚率の高いフランス。遺族年金の受給額は前妻(夫)と分け合うよ

法律関係・規則

もしパートナーが死んだら年金ってどうなるのかな?

と思った事はありませんか?

不謹慎と思いつつも、ちゃんと把握しとかなければと思い調べてみましたが、

でもそこはアムールの国。

前妻(夫)の事も考慮されています。

今回は、フランスの離婚・再婚率と遺族年金について。

離婚率が多いフランスの遺族年金は独特です。

フランスの離婚率と再婚率

子供が年長さんになったころ、

「divorce(離婚)」という言葉をクラスメイトの子たちが使っている事に気が付きました。

担任の先生に聞いてみたら、両親が離婚しているとか、パパやママの新しいパートナーが迎えに来るとか、家庭であった出来事や、両親の喧嘩の内容などを学校で話している子もいるので、子供ながらに離婚の意味を理解し始めている子がボチボチいるとの事でした。

同じクラスの子供達を見ていても、両親それぞれの家を行き来している子が多いので、両親が別れている家庭は多いのだろうと思いますが、

ふと、フランスの離婚率はどのくらいだろう?

と思ってきました。

フランスの離婚率について

まずフランスの離婚率についてですが、フランスの離婚率は1.9 。

日本の離婚率 1.7より高いです。(総務省統計局「世界の統計2019」より)

ただフランスの場合は日本と比べると結婚を選択する人が少なく、結婚しなくても子供がいるカップルは沢山います。2018年の統計によると、フランスで生まれた子供の「58%」 は事実婚のカップルから生まれており結婚率が高いわけではありません。

もちろん愛する人がいるならば結婚という流れも自然ですが、フランスにはパックス( PACS)という制度があるので、結婚にこだわっていない人も多く、結婚をする割合は日本と比べるとぐんと低いです。

ちなみに2016年では19.1万組のカップルがパックスを選択していて、23.3万組のカップルが結婚してます。 なのでフランスの離婚率はこのパックス組を含めると違った数字が出るのでは?と思ってます。


結婚するメリット」は確かにありますが、 結婚しなくとも未婚で子供を持ったとしても書類上何の問題もなく、日本のように未婚の母親は児童扶養手当が受け取れないとかそんな馬鹿げた事もありません。

あともう一つ結婚をしない理由に挙げられるのが、離婚する時のハードルの高さです。

つい最近までは、どんなに円満離婚でも双方が弁護士を雇って裁判所で離婚するのが普通でした。この離婚手続きというのが大変らしく、精神・体力・金銭的にも消耗するんで、離婚の事を考えたら結婚したくないという人も多いのです。


先ほど紹介した離婚率は、人口1000人当たりの割合で出しているので、実際に結婚したカップルの離婚率ってこの数字だと不透明ですよね。

なので調べてみると、

法的情報・専門弁護士情報サービスを行っている Jurifiable.comによると、

フランスでは結婚したカップル 1.8組中、1組が破局していて、毎年13万組が離婚をしています。

フランスは結婚を選択したカップルでも破局率が高い国なのです。


数字で見るフランスの恋愛事情について。

フランスの再婚率について

「 バツイチ婚活ガイド 」さんの情報によると、日本では離婚した女性のおよそ半分は再婚をしており、再婚のハードルが低くなっているとの事でしたが、

フランスの再婚率は日本よりかなり少ないです。

2000年に行われた調査では、離婚後10年で再婚をしている人は全体の30%だったのに対し、2018年では25%と減少してます。

それは2000年当時と比べると、結婚を選択する人の割合が減ってきていて、逆にパックスを選ぶ人が徐々に増えてるからです。


そして結婚・離婚した時の平均年齢も高いので、再婚した時の年齢も結構高めですし。

▼再婚した時の年齢 男性… 50.3歳 、女性… 46.5歳


実際に私の周りを見ていると、離婚後に他のパートナーがいる人は多いけれど、再婚はしない。

という人が圧倒的に多いです。

配偶者が亡くなったら遺族年金はどうなるのか?

先ほど離婚率のところで「結婚するメリット」もあると書いてましたが、

遺族年金もその一つで、残された妻や子供が現状の生活を維持できる大きな保障がついてきます。

でも亡くなった夫に前妻がいたらどうなるのでしょうか?


日本の遺族年金の場合、現妻が優先され元妻には受給権が発生しません。なぜなら、すでに離婚済みなので生計を共にしていないとみなされ、元夫が亡くなっても生活は困窮しないと考えられているからです。

例えば子供がいない夫婦であった場合、30年一緒に連れ添った前妻には受給権がなく、1か月だけ最後を過ごした現妻のみに受給権が発生する極端な例も生まれます。

遺族年金が支払われるコンディション

ちなみに遺族年金 (la pension de réversion)は無条件で受け取ることができません。

受取にはどのような条件があるのか、3つのコンディションを確認しましょう。

  1. 結婚していた
  2. 55歳以上である事
  3. 収入が上限額を超えてない

結婚していた事

まず最初の条件は、結婚していて配偶者だった人に限られています。

パックスを選んでいたカップルには遺族年金の受給権は発生しません。

55歳以上である事

遺族年金の受け取りは一部の例外を除き、最低でも55歳からです。

55歳以上であれば、仕事で収入を得ている人でも、自分の年金を受給している人でも、受け取る権利があります。(一部の年金補足制度には年齢制限なし)

ですが年齢の制限がない場合もあります。

  • 2人以上子供がいる人
  • 配偶者が障害・重度の病気などで体が動かなくなった場合

など特別な例では最低年齢はないので状況によって確認する必要があります。

収入が上限額を超えてない

先ほどの最低受給年齢の所で「55歳以上であれば、仕事で収入を得ている人でも、自分の年金を受給している人でも、受け取る権利があります。 」と書いてますが、

収入が上限額を超えていたら受給権はありません。

2020年の場合(年収の限度額)

  • 1人の場合… 21 112 € (約250万円/月)
  • カップルの場合 … 33 779,20 €  (約400万円/月)

毎月20万円ほどの稼ぎがある人は適用されません。

遺族年金の受給額は前妻と共有する!

実は 史上最長ストライキ(2019年12月)の大きな原因となった【フランスの年金改革】の一環には、「離婚した元妻の受給権撤回」 も検討されていましたが、最終的には「離婚した女性(特に)の貧困リスクを回避する」ために撤回しないと公表されました。

なのでフランスの遺族年金は現状通り、遺族年金の受給権は【 前妻にも発生 】します。

婚姻期間に比例して受給額を分け合う

受け取ることができる受給額は、夫が受け取るはずだった年金額の55%で、それぞれの婚姻期間に比例して受給額を分け合います。


【例】亡くなった夫の年金受取額が1500ユーロ(約18万円)だった場合。

1500ユーロ×0.55=825ユーロ(約10万円)

この金額を前妻と現妻で分けることになります。

  • 前妻の婚姻期間…20年

前妻の婚姻期間が20年だった場合、20年(婚姻期間)/43年(納付期間)になるので、

元妻は383ユーロ(約4万6千円)を受け取ることができます。

もし何度か結婚・離婚を繰り返している人の場合は、すべての元妻たちで分け合うことになります。

もし前妻は結婚していて自分はパックスだったら?

あと疑問なのが、前妻は結婚していて自分はパックスだった場合。

この場合は受給権が発生しないので、遺族年金は元妻がすべて受け取ることになります。



その他フランスの年金制度について





▼参考サイト

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