フランスの学校再開も揺れている。教育相の予定案を聞いたフランス人の反応

フランス現地情報

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フランスでは5月11日から段階的に学校を再開する【予定】ですが、

現在の所、新型コロナウイルス感染を防ぐために学校ではどのような対策をするのか?

まだ、学校再開への細かな対策は確実に固まっていません。

どうなることやら…

とフランスにいる誰もが思っています。

とりあえず現在の段階で考えられている学校再開の【案】をジャンミシェル・ブランケール教育相が発表(下に動画あり)しているので、その内容とフランスでの反応を紹介したいと思います。


追記(2020・5・5)

▼フランスでは各学校の感染症対策が整い次第、再開していますが、幼稚園・小学校でのコロナ感染症対策がストイックすぎる内容になっています。

フランスの学校再開の対策案

一応、今考えられているフランスの学校再開案を簡単に説明してみます。

学校再開は5月11日から3週間に渡って「段階的」に行われる可能性がある

段階的に学校が再開される予定
  • 1週目に対象となる児童…年長・CP(小1)・CM2(小5)
  • 2週目に対象となる生徒…6e(中1)・3e(中4)・1re(高1)・terminale(高3)・リセ・プロフェッショナル
  • 3週目は全クラス?


フランスの学校の教育制度は、

  • 小学が5年間
  • 中学が4年間
  • 高校が3年間

になっています。

なので段階的に学校が再開された場合、小・中・高に入学したばかり、もしくは卒業を控えているなど、特に重要な学年から優先的にスタートする予定です。

※大学生や専門学校の生徒さんたちは自宅・オンライン学習が継続されます。今回の措置に含まれてません。

対象外のクラス再開は各学校判断で任せられる(追記)

5月11日以降の学校対応をどうするのか?

特にロックダウン解除3週間後、優先されなかった他のクラスの授業はどうなるのか?

各学校の判断に任されます。

子供の行っている学校(小学校)では大まかなルールは決定したようですが、

5月25日(3週目)~は、まだ決まっていません。

学校によっては既に決定済みな所もあるし、出欠の確認を取っている学校もあるので、決まり次第、保護者に連絡が来るようになります。


この幼稚園では年中の学校再開は9月に決定した。

4月28日に学校から送られてきたメッセージ、読んだらサインをする

児童・生徒数は各クラス15人が上限

もし学校が再開が現実になれば、児童・生徒数は各クラス15人が上限と発表されました。

ただこれはとても難しい問題で、

フランスの学校では学校に在籍している児童や生徒の数によって、その学校が何クラスで編成されるのか、その後先生の配属が決められます。

家の子供が通う小学校の場合、154人の児童が在籍していて6クラス編成です。

1クラスが24人~27人で構成されています。

しかも6クラスの内の3クラスは学年が混ざっているので、

  • 小1
  • 小1/小5
  • 小2
  • 小2/小3
  • 小4
  • 小4/小5

こんな感じでクラスの編成が決まっているのです。

学校によっては1000人以上のマンモス校もあるので、どのように生徒の数を1クラス15人に分けるのか?

分けたとしても先生の数が圧倒的に足りないなどの問題が山積みです。

フランスでは各県に臨時教師が配置されてますが、もともとから教師の数が足りていないし、待機している臨時教師の数も少ないので、児童館や外部のスタッフ、市役所職員が総出で対応していかないと現在の案が成立しないことになります。

地方の学校などで15人以下で編成されているクラスであれば学年に関係なく再開できる

先ほどの対策とは別に田舎にある小さな学校など。

子供の数が少なくて元から1クラスが15人以下の児童・生徒数の学校であれば、CP・CM2などの学年に関係なくクラスを再開することができます。

学校再開の4つのシチュエーション

そしてブランケール教育相が発表した内容で理解不能だったのが「4つのシチュエーション」です。多分どこのフランスのご家庭でも「意味が分からない??」と感じたんではないでしょうか。

1クラスを15人以下にするために考えられる4つのシチュエーション
  • クラスを半分のグループに分ける
  • オンライン授業を続ける
  • 自習学習・塾のようなシステム(例えば学童で宿題を見るなど)
  • 学校付近の公園やジムでスポーツをするなど


結局、1クラスを15人以下にするために「オンライン(遠隔)授業」も一つの案として伝えていたので、「それだったらこのまま学校再開しなければいいのに!」と思った親御さんも多いと思います。


5月12日以降の学校再開で決定した事(2020・5・9追記)

5月11日の学校再開とフランスの反応

もしコロナウィルスの感染者数がこのまま減少していけば、フランスでは5月11日に学校が再開される予定ですが、

もちろんフランスでも保護者や教育関係者からは不安や批判の声が広がっています。


▼ブランケール教育相が発表した「大まかな学校再開の案」がYoutubeにアップ

Reprise de l'école : « Les CP et les CM2 dès le 11 mai », évoque Blanquer



▼コメント欄のメッセージ

未だ危機的状況なのに、なぜ学校を再開するの?
(学校を再開することで)確実に第二波の感染につながる…

私は子供を愛しているし、子供たちを学校に連れて行かない。感染やウィルスの媒介者になるリスクを負わせたりはしません。現状を考えると学校再開は時期早々

学校再開は愚かな決断。
あなたの発表は、子供たちの健康に致命的なパンデミックを起こす。


投稿されたコメントには、コロナウィルスの第二派を警戒する声や、

感染のリスクが高まる集団の場所(学校)に子供を連れていく事が出来ないといったメッセージが溢れていて、

「学校再開の決断は致命的なミス」だと指摘している声、ブランケール教育相への非難が圧倒的に多かったです。

5月11日の学校再開時にはフランス総人口の5,7 %が感染する

パスツール研究所などが出した調査結果では、

フランス本土の封鎖が徐々に解除される「5月11日」には、人口の5.7%に当たる370万人がコロナウィルスに感染するとしています。

ただ学校再開時にフランス人の人口370万人が感染したとしても、集団免疫(感染していない人の保護を得る)に必要な「集団免疫率」が70%なければ、コロナウィルスの感染は再び爆発的に広がると…

コロナウィルスの第2派の到来がやってくる危機を個人的に感じるので、学校の再開は強制ではないですが、夏休み明けの9月からでお願いしたいです。

集団免疫と集団免疫率について

通常,我々人間はウイルスなどに感染すると,回復過程でそのウイルスに対する免疫を獲得する。感染症のなかには,集団の大部分が感染し免疫を獲得することで,感染の連鎖が断ち切られ,感染していない人を保護する機能が働く場合がある。このような機能を「集団免疫」といい,人口に対する免疫保有者の割合を「集団免疫率」と呼ぶ。

http://www.world-economic-review.jp/impact/article1701.html


参考サイト「コロナウィルス「集団免疫率」の調査結果(パスツール研究所・公衆衛生フランス・Inserm)」

Coronavirus : « Le 11 mai en France, 5,7 % de la population aura été infectée par le Covid-19 »
Une étude donne pour la première fois une photographie de l’épidémie et note « l’impact massif » du confinement.

フランスのコロナ関連ニュースのまとめ

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