フランスでは健康保険に任意保険をプラスすれば、
健康保険でカバーできなかった診察料を全額負担してくれたり、
保険料の掛金の割に医療費や処方薬を購入する時の自己負担が少ないなど、社会保障が充実している国です。
医療費の払戻額を見てたびたび感動するのですが、
フランスで医療機関を受診する前に最初にぶつかる難関があるのです。
フランスでの医師の診察は完全予約制
日本の場合、個人経営のお医者さんでも、看護婦さんが数名いて、受付けの人もいて、各自の業務を担当しているので、医師は診察だけに集中する事ができます。なので、一日に多くの患者さんを診る事ができるのですが、フランスの場合、先生1人でプライベートな空間で診察を行っているので、一日に診察できる患者の数に限りがあります。
大体ですが、15~20分間隔で1人の患者を診ているので、フランスで医師に診察してもらいたい時は必ず予約が必要です。
- アパートなどの一室(Cabinet)に医師が一人だけいてそこで診察している。
- Maison Médicale(メゾンメディカル)といって、同じ建物中に複数の専門医がいる医療施設。
緊急でなければ最初の診察は上の2つに行く事がほとんどですが、
フランスで診察前に必要な事、
それは…
事前に電話をして診察日時を予約する事です。
▼最近では、ネット予約できる便利なツールもあり、もし誰かがキャンセルした場合など、その予約枠を確保し診察日時を早めたりできる便利な機能がついているプラットフォームもあります。
↓↓(ネット予約ができるプラットフォームの例)
しかし大抵の場合、電話で連絡をとった方が早く診察日時を確定する事ができます。
例えば、医師に緊急で診察をしてもらいたい時、
緊急枠を確保している医師や、地域によっては当日受診オッケーの専門医もいるので、
当日中や翌日の診察も可能な場合があります。
ネット予約も便利ですが、お医者さん側で近日中の予約はネットで取れないように管理している場合もあるので、当日予約などのイレギュラーなお願いは、ネット予約でなく電話予約の方が確実で、専門医であれば尚更です。
例えば、皮膚にイボができた場合。
痛くないけどイボが出来ちゃった。
こんな場合は緊急ではないので皮膚科専門医に電話しても、誰かがキャンセルしてない限り近日中に予約が取れない事が多いです。
フランスでは専門医に診察してもらうまでの道のりが長く困難な場合もあります。
そんなフランスですが、専門医の診察までにどれくらいの時間を待たなければいけないのでしょうか?
専門医の診察は2、3か月待ちが当たり前に
フランスで専門医を見つける難しさは、住んでる地域によって大きく異なるし、受診までの待ち時間も当然ながら異なります。
一般医であれば当日~2日程度で予約をとる事が出来ますが、たまに1週間待ちってことも多々あります。
では、専門医の診察までの待ち時間はどれくらいでしょうか?
▼各地域別で専門医の診察までの待ち時間を調べれる便利サイトがあるので、ここで確認してみましょう。
受診までの待ち時間:イル・ド・フランス(パリ)の場合
※診察までの最短日数()内は最長日数
イル・ド・フランスの中でもパリは比較的早く専門医の予約をとる事ができますが、地方に行けば行くほど受診までの待ち時間はさらに長くなります。
下では、ブルターニュの例を見てみましょう。
受診までの待ち時間:ブルターニュ地方の場合
※診察までの最短日数()内は最長日数
専門医別の待ち時間を見てもらうと一発で確認できるのですが、特に眼科医は本格的な医師不足です。
人気の医師は、新規の患者を受けない
- 口コミの評判が良い
- ネットで高評価
- かかりつけ医から勧められた
大抵の人は、上にあげたような評判の良い医者に診てもらいたいですよね。
しかし、人気の医者には患者が殺到しているので、新規の患者を受け入れる余裕がなく、電話の段階で断られる事もしばしばです。
家族の誰かが既に患者だったり、知り合い、その医師に近い人物からの紹介…
などであれば人気のお医者さんの予約をとれることがあるのですが、大体の人は電話しても断られます。
フランスでは一般医の数が減少傾向、医師不足になっていく?
しかし、なんでこんなに待ち時間が長すぎるの?
それは日本と比べると、医師が診察する患者に対しての予約時間が長く、一日に限られた数の患者を診る事ができないフランスの医療体制も関係していると思いますが、その体制の割には医師の数が少ない事があげられます。
しかし、今後はもっと医師不足が深刻化すると言われているのです。
なぜなら、今の所、専門医の受診ができないので、一般医にお願いしてお薬を処方してもらったりと、助けてもらっているのですが、フランスでは全地域的に一般医の数も減少しています。
▼2007年以降、診察所を開設する一般医が8%以上減少したと伝えている記事(2016年時)
上のリンクをクリックすると地図で分かり易く説明されていますが、一般医の減少を免れた県は、サヴォア(1%増)と、ロワール・アトランティック(0%)の2県だけです。
2016年当時の記事では、2025年には4人に1人の割合で一般医が減少していくと紹介されているのですが、
別のソースでは、例えばパリの場合、一般医が今後10年間で15,5%減少するとも紹介されていました。
▼もう一方では、フランスでは2035年まで医師不足が続くけれども、それ以降は現在の水準までに回復すると伝える記事も。しかしそれは2021年度の入学時から医学生の数を20%増やせばといった仮定で説明されていました。
熱があって苦しい。
今でさえ、予約を取りたくてもなかなか当日中に空いている医者を見つける事が難しい。
こんな状況なのに…
今後はどうなってしまうのでしょうか?
まとめ
ちなみに、最近予約をとった医者をまとめみました。
- 地元人気の歯医者:3週間
- 小児科医:8週間(土曜日指定にした場合)
- 矯正歯科医:7週間
- 甲状腺専門医:12週間(ネット予約)
- アレルギー専門医:8週間(ネット予約)
- 皮膚科医:14週間(ネット予約)
電話で予約する時に、ものすごく不機嫌な秘書に当たる事があり、
物凄くストレスを感じるので、
可能な限りネット予約です。