今見れる光景は、これからもずっと存在する保証などなく、
災害によって、人災によって、気象現象によって、
跡形もなく消えてなくなる事があります。
こちらは人災被害 ▼フランスの魂「ノートルダム大聖堂」で起きた火災…
地球温暖化の影響で、北極や南極の氷や、高山を覆っている雪がとけたり、世界中にある巨大氷河が後退、または消滅の危機にあります。
フランスも例外ではなく…
フランスの名だたる氷河が消滅しようとしています…
今回は、フランスの有名観光地にある氷河が無くなってしまうよという悲しいお話です。
シャモニーの「メールドグラス氷河」
フランスで一番有名な氷河といえば、おそらく「メールドグラス氷河(La mer de Glace)」ではないでしょうか?
「メールドグラス氷河」は巨大な氷河だし、モンブランがあるシャモニーにあるので、毎年多くの人が訪れている場所です。
かつて私も一度はモンブランが見たいと、2010年に初めてシャモニーを訪れた時「メールドグラス氷河」 によってみました。
その時にとても印象に残ったのが、
-200X年には氷河はここまで残っていました。
-200X年はここまで氷があったんですよ。
のように、氷河がどれくらいの猛スピードで後退しているかを、岩肌に記している場所があったんです。
小さい子供が一年ごとに成長を柱に記すように、
メールドグラス氷河では、一年でどれくらいの氷が後退しているかを記しています。
▼1990年、年代が記されているパネルのとこまで氷河がありました。
当時立ち寄った洞窟内では、水道の蛇口から水が出るように、 溶けだした水がドバドバと、ありとあらゆる場所から落ちていました。
シャモニーにはメールドグラス氷河だけでなく、いたるところに氷河が存在していたのですが、
かつて氷河が存在していた場所には、近いところに家が立ってたり、緑が茂っていたり、かなり姿が変わっていて、ほぼ消滅しかけている所も多くあります。
▼消滅しつつあるフランスの氷河「before/after」
1870年から氷が解け始め、後退のスピードが加速したのは2003年以降。
メールドグラス氷河の厚さは200m消滅し、さらに年々と薄くなっています。2030年頃には、2009年時点に氷河があった位置よりも長さが550~1000mくらい短くなるとも言われています。
2019年の夏は45度を観測した地域もあるし、後退のスピードがもっと速まるかもしれません。
シャーモニーのメールドグラス氷河はフランスで一番有名な氷河ですが、今の状況でいくと完璧に消えてなくなる場所なので、今のうちに是非寄ってもらいたい場所です。
▼「メールドグラス氷河( La mer de Glace )」に行くには、赤くてかわいい列車「モンタンヴェール鉄道( Montenvers )」という登山列車に乗って行きますが、降車駅から氷河までの距離が一年に4~5ⅿづつ長くなっています。
2019年夏のスケジュールは、7月13日~9月29日までの毎日、大体30分間隔で運行しています。
2019年8月11日に脱線してしまい、翌日は運休などのアクシデントもありましたが、
運行状況の詳細は下のリンク先から確認できます。
▼モンタンヴェール鉄道の運行状況・スケジュール等を確認する事が出来ます。
ピレーネ山脈の氷河
そして近い将来に完璧に消滅してしまうのが「ピレーネ山脈の氷河」
かなり深刻な事態になっています。
▼氷河がとけて湖になっています。
2050年あたりにピレーネ山脈の氷河が消えてなくなるだろう…
「 Glaciers des Pyrénées, le réchauffement climatique en images(ピレネーの氷河、写真で見る地球温暖化)」の著者が、2016年に行った観察では、こう言い切っています。
でも2019年フランスの夏は、2度の歴史的猛暑がありましたよね?
こちらも参考にどうぞ ▼異常に暑かった2019年の夏(フランス)
こんな暑さが続けば「2050年よりも先に氷河が消滅するんじゃ? 」 と疑問に思いますよね。
今でさえも冬に積もった雪が、自転車操業のように夏にすべて解けだして氷河がむき出しになっているので、素人目からでも「氷河が2050年以前に消滅するのでは?」って察知できます。
ピレーネ山脈も大きいので、いくつかの氷河ポイントがあるんですが、
その中の一つ「Glacier des Oulettes」は、2020年に消滅するそうなのです。
「Le glacier du pic d’Aneto」では、
20世紀に100mあった氷河が、21世紀に入って10~20mしか残っていない…
あと数年の寿命なんです。
上に埋め込んだツイッターの記事を見て頂くとわかるんですが、
かなりの深刻さが伺えます。
このピレーネ山脈の氷河は、2000年から2016年の間に、17の氷河が消えて無くなっています…
ティーニュの「グランモット氷河」
そしてこのサイトで「夏でも滑れるフランスのスキー場」として伝えた「 Tignes (ティーニュ ) 」
ここにある「グランモット氷河」も2100年あたりに消滅するんでは?と言われてます。
▼ほぼ一年中スキーができるスキー場として紹介している「ティーニュのスキー場」
ティーニュのグランモット氷河がある最高地点は3,656 m。
めちゃくちゃ高いところにあります。
富士山が3,776mくらいなので、それを考えると結構な高さです。
しかしここも2019年の猛暑に2度襲われたせいで、50%の山肌(3,400m地点)がむき出しになってしまったのです。しかも2度目の猛暑が襲ったときは25度が観測されました。
標高3,400mで25度って、過去に前例がないことです。
そんな事で、
ティーニュの2019年の夏スキーは、予定より10日も早く閉鎖されてしまいました…
今後、夏スキーの期間を変更しなければ、滑れなくなる可能性は確実にあります。
まとめ
南極の巨大な氷が解けだしている位なので、フランスの氷河なんてアッという間に無くなるよな…
この記事を書きながらも、そんな悲しい事を考えていましたが、
今の小学生の子供たちが中年になるころには、 以前存在していた景色が跡形もなく消えてしまったり、現代よりもずっと暑すぎて暮らせない可能性もあるんだと改めて危機感を覚えました。
参考サイト: https://www.rtl.fr/actu/debats-societe/climat-le-glacier-de-la-grande-motte-de-tignes-va-disparaitre-7798133700