飲食店に優しいフードデリバリーサービスはフランスで定着する?

飲食店に優しいフードデリバリーサービスはフランスで定着する?フランス現地情報

今や大都会では、大手フードデリバリーサービスのロゴだらけ。街中の至る所で四角いバックを担いでいる配達員の姿を見かけるようになりました。

フランスでは、Uber Eats・JUST EAT・Deliverooなどの大手フードデリバリーサービスのアプリが浸透し、過去3年間で約20%も宅配件数が上昇しました。今後も数年の間に売り上げが3倍に膨れ上がると予想されている市場なのですが、

この活況と裏腹に経営が厳しくなっているのが飲食店側ではないでしょうか。

例え、持ち帰り・宅配サービスを自社で行っていても、大手フードデリバリーサービスの集客力と便利さには到底追いついていないので、多くの顧客は大手フードデリバリーサービスのプラットフォームに流れてしまうのが現状です。

そこを経由して各飲食店へ注文が入る度に、飲食店側は手数料を支払っているのですが、その手数料が高額なので個人経営の飲食店は悲痛な叫びをあげています。

フードデリバリーサービスの手数料は約30%

フランスではコロナの影響で、以前よりもデリバリーサービスを利用している顧客が急増しているのですが、驚くのは大手フーデリバリーサービスの便利さです。

例えばUber Eatsは、2020年の12月から一定額で配達料が無料になるサービス「Pass Uber Eats(Eatsパス)」の提供を開始しました。

このサービスは日本同様、最低注文料金(フランスの場合12ユーロ以上)の条件がありますが、月額5,99ユーロ(約770円)を支払うと、その月はUber Eatsで宅配を何度依頼しても配達手数料が無料になります。

日本は980円なので、フランスの方がさらにお得に利用できるんですね。

その上、割引サービスなどのプロモーションも行っているし、集客力・宣伝力抜群のプラットフォームのおかげで飲食店は選び放題です。この便利さを利用してお得に&まだ知らない飲食店を開拓したい顧客にとっては、とてもマッチしたサービスになるのですが、その分、飲食店側の手数料負担はとんでもない事になっております。

フランスでも日本同様、大体の飲食店は、Uber EatsとDeliverooに30%、JUST EATは注文状況にもよりますが約25%くらいの手数料を支払っています。

もし自社サイトで直接注文を受けれた場合、持ち帰りの場合は10%OFF、宅配サービスの注文であれば送料無料で宅配サービスをすることができますが、大手フードデリバリーサービスの外注経由になると、注文を受けるたびに約30%の手数料を支払わなければいけません。

飲食店にとっては高額な費用になるのですが、自社サイトを直接検索で訪れてくれるお客さんの数は少なく、大手フードデリバリーサービスの力を頼らないとネット上で顧客を集客できない時代になっていて、潜在顧客を獲得するには必要不可欠のツールになっています。

飲食店に優しいフードデリバリーサービスはフランスで定着する?

ただこれからは、ゴーストキッチンという新しいサービスの到来や、ローカル密着型飲食店に寄り添ったデリバリーサービスの新規参入などによって、飲食店側の手数料負担が安くなるようなサービスを実現しないと、デリバリーサービス側も生き残りが厳しくなるかもしれません。

ローカル型のフードデリバリーサービス

大手デリバリーサービス会社がノータッチの地域には、ローカル型のフードデリバリーサービスなるものが存在します。

フランスではコロナの影響でレストラン内での飲食が禁止されているので、新しく持ち帰りサービスを始めた飲食店も多いです。しかも2021年2月現在のフランスでは、18時以降の夜間外出禁止例が発令中。なので宅配のニーズは各地で増えているのですが、それまでに宅配サービスを行っていなかった飲食店などは、地元型のプラットフォームを利用する事で、サービスを実現できるようになりました。


▼例えば「Le Comptoir」のアプリはローカル型。Pays de Gex地域の9つのコミュニテイー地域で活躍してるアプリ。このアプリでは地域の飲食店だけでなく、地元のお店や地元産の野菜や果物なども購入が可能。

Ordering
Le Comptoir Website


▼あくまでも飲食店に優しいアプリなので送料は顧客側が負担するものがほとんど。送料は飲食店によって異なる。(赤枠の所)

ローカル型なので競合がない。顧客が送料を負担する。

送料は顧客側が負担するのですがローカル型なので競合がありません。なので顧客にはチョイスがなくちょっと厳しいかもしれませんが、コロナの影響で経営が厳しくなっているローカル飲食店を守る仕組みになっていてとても有効なアプリではないかと感じます。

飲食店に寄り添ったフードデリバリーサービスの到来

そして大手デリバリーサービスは外資系企業のところがほとんどで、なぜか日本やフランスの飲食店が海外の企業にイチイチ手数料を支払っているという構造になっているところも、ちょっと腹立たしいです。

▼日本の【出前館】のような大手デリバリーサービスはフランスになかったのですが、ついに100%フランス製のフードデリバリーアプリ「Resto du Coin」が登場しました。

https://restoducoin.com/

このResto du Coinのモットーは「シンプル、ローカル、フェア

飲食店にとって必要不可欠となるツールを目指していて、飲食店に寄り添ったサービスを開始しています。飲食店側はこのプラットフォームを使用する上で会費が必要になりますが、その他の手数料は1回の注文につきたったの1ユーロだけです。

もしこのResto du Coin経由で注文が入れば、1ユーロだけ手数料を支払えば宅配もしてくれるサービスなんです。

例えば、大手フードデリバリーサービス経由で20ユーロの注文を受けると、店側は6ユーロの手数料を支払っていましたが、Resto du Coinであれば1ユーロの費用で完結します。

まだ登場したばかりのアプリで、現在の所、ダウンロード数も少ないし、1ユーロの手数料でどれほどのサービスが提供できるのか謎ですが、これからこのアプリはどのように成長していくのでしょうか?

もしこの100%フランス製のアプリがフランス定着すれば、大手フードデリバリーサービスの手数料も安く設定される事間違いなしです。

おわりに

ちょっと話がそれますが、フランスではアメックスカードが使用できるお店が非常に限られていて、大手でない限りほとんど使用できません。

それは店舗側が負担するカード決済手数料がVISAなどに比べると高額なので、店側がアメックス払いに対応していないのがほとんどです。店側が負担する手数料を低くしないと、大手デリバリーサービスも飲食店が嫌がって導入しない、存続が危うくなる時がいつかはやってくるかもしれません。

また、お気に入りの飲食店だったり、地元の飲食店を応援したいというのであれば、大手フードデリバリーサービスを利用せず、飲食店に直接注文するだけでも店主に手数料が還元されます。日本の場合、値段設定を低くして顧客に還元している飲食店も多いので、そういった飲食店を応援したいのならば、なるべく直接注文してみてはいかがでしょうか?


▼コロナ禍でレストランが次々と閉店していく中、売り上げ業績を伸ばし続けている飲食業界、フランスで「ゴーストキッチン」と呼ばれるニュージャンルのバーチャルレストランについて。

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