【海外の寿司事情】ヨーロッパ最大のSushi消費国フランスでは?

食べ物・レストラン

寿司って無性に食べたくなりますよね。

我が家の場合、全員が寿司大好きなので月一の頻度で寿司屋に通ってますが、お箸を上手に使って寿司を食べるフランス人の姿を見ると、寿司ってフランス人の食生活に定着したんだなと、しみじみと感じます。

海外に浸透した日本の寿司文化。日本のものとは、ちょっと違った感じで伝わってますが、独自な寿司文化がそれぞれの国で根付いています。

今回は、海外の寿司事情。ヨーロッパ最大のSushi消費国フランスでは?をお伝えします。

海外でも人気の寿司、フランスの寿司事情

パリのボンマルシェ(高級百貨店)に初めて行った時に、キュウリ細巻き1本分のお値段が4ユーロ(当時のレートで600円くらい!!)と、あまりのお値段に仰天した事を昨日のように覚えていますが、

フランスの寿司事情はどんな事になっているのでしょうか?

フランスはヨーロッパ最大の寿司消費国

フランスで売られている一般的なお寿司。大体、こんな感じ。

私がフランスで生活し始めた2008年。パリで寿司を食べようという事になり人気の寿司チェーンに入った時の事です。

土曜の夜という事もあって店内はお客さんで一杯。店の壁側には席の順番を待っているフランス人たちがズラ~ッと並んでいました。

一皿4ユーロ、5ユーロ(当時のレートで約480円~600円)が当たり前の回転寿司屋さんに、大勢のお客さんが詰めかけていて「これが寿司バブルなんだ!」と驚いたのを覚えています。

フランスにポツポツと日本食レストランが出来始めたのは1990年代末。パリにはもちろん日本食レストランはありましたが、パリ以外の地域ではとても稀な存在だったと言います。その後ぐんぐんと寿司市場が拡大し始め、2013年になるとフランスはヨーロッパ最大の寿司消費国になりました。

2015年には、1500件の寿司レストランがフランスで営業、そしてフランス人の22パーセントは月1で寿司を食べています。

スーパーのコーナーに寿司の実演スタンドが出来ている

以前は、一部の高級デパートの食品売り場でしか販売していなかったパック入りの寿司ですが、その後大型スーパーにも続々と並び始め、2020年ではほとんどの大型店で見かけるようになりました。

手軽にスーパーで寿司を買えるようになったので、フランス人にとって寿司がより身近な存在になったのですが、ここ数年では更に「寿司の実演スタンドも続々と設置されています。


▼下のツイートはフランスではないけれども、オーシャン(大型スーパー)内にある寿司スタンドの例。フランスも全く同じ感じ。


実演販売なので誰かが中で寿司を作っているのですが、上の写真を見てもわかる様に、明らかに日本人ではない東南アジアの方々が寿司を作っています。

狭い場所にギュウギュウ入って寿司を作っているのですが、近所のカルフールの例だと上と同じくらいのスペースに7名いたのを見た事あるし、忙しそうに黙々と寿司を作っています。

出来上がった寿司の他にも、米・寿司酢・日本のビール・醤油・ワサビなどの寿司関連商品も割高で販売しています。

フランスの寿司バブルは既に落ち着いている

寿司ブームに火がついてから十数年がたつフランスですが、実は大分前から寿司バブルは落ち着いてます。

2009年にフランスの地方にいた時は、お昼ご飯に寿司を食べたというと「モードだね!」と言われていたくらい、寿司が全国的に流行っていました。日本人のシェフの方とも「あと10年は寿司バブルが続く」なんて話した事を覚えてます。

確かに当時は、ちょっと試しに食べてみようと日本食レストランに行っていた人が多く店内が多くのお客さんで溢れていましたが、

2020年の現在と言えば、日本食を食べるフランス人の割合は5割程度です。

元々フランスは生魚を食べる習慣がなかったので、特に年配の方は寿司に抵抗がある方も多く、日本好きな方以外あまり日本食レストランにいく機会はないのです。

実際に普段の食生活に寿司が定着している年代は、20歳~34歳までの若い世代で、パリやパリ近郊に住んでいる人たち。この世代は週に数回、寿司を食べる人もいます。

最近の流れとしては、わざわざレストランに食べに行かなくてもスーパーの寿司で十分。お昼のランチは寿司のテイクアウト。こういったお客さんが増えてきて、スーパーでの売り上げが好調な反面、レストランの売り上げは落ちてきています。

相変わらず寿司は人気食で需要はありますが、

寿司屋って儲かるよね!

と言われていたのは昔の事で、寿司ブームが落ち着いた現在のフランスでは、

  • 需要よりもレストランの数が多くなっている
  • スーパーという強力なライバルが増えてきた

そういった事によって経営が厳しくなっている寿司レストランが多くなりました。

フランスの寿司屋は9割が中国人経営

海外に出て驚くことは、寿司が日本生まれなのか中国生まれなのか知らない人が結構いるという事です。

コロナウィルスが拡大した当初、フランスでは日本食レストランが攻撃されましたが、「この犯人、寿司が日本生まれか分かってなかったんだな」と思ってました。

被害を受けたレストランは、ニュースで見た感じ明らかに中国人が経営している日本食レストランだったので、犯人は分かってやったのか、偶然なのか分かりませんが、

フランスで寿司レストランを経営している9割は「中国人」です。

ちなみに、私が住んでいる街には8件の寿司を提供しているレストランがありますが、全部中国人の方がオーナーで、日本人は一人も働いていません。

日本人であれば、店の外観とメニューを見れば、すぐ日本人経営の店ではない事が見抜けますが、フランス人にはどの店が中国人経営なのか?日本人経営なのか?判断する事が出来ません。

中国人経営者がフランスの寿司ブームに乗れたわけ

フランスで長く飲食業を営んでいる人の話によると、2000年前後くらいの時に、中国人が経営する中華料理店の衛生状態を隠しカメラで撮影したものがフランス全土に放送されたのだそうです。

店で提供する餃子は実は自宅で作られたもので、床の上に食べ物が落ちている。その食べ物を拾って客に提供する。と、こんな内容だったようで…

この放送が全国区で流れた直後から、あまりの汚さに、中華料理店には誰も行かなくなって経営が苦しくなった。

そこで当時囁かれていたのが、寿司ブームの到来です。

中国人経営者は素早く寿司に方向転換し、それがよい時期と重なり寿司バブルに上手く乗ることが出来た

とおっしゃってました。


実際に知り合いの中国人は、

20代で3店舗のレストランをパリに持っていますが、

1店舗目は寿司レストランを経営していたのだけど、寿司ネタなどの仕入れ値が上昇してしまい、寿司で稼げないと悟る。その後、原価の安い「麺」の専門店をスタート

それが大当たりして猛スピードで3店舗目に突入しました。

どのジャンルの料理を作りたいかのではなく、儲かるジャンルの料理は何なのか?で動いている為、こだわりはなく見極めが早いです。

後腐れなく今まで頑張ってきたものを手放す勇気。時代の流れを読んで、新たなジャンルに挑戦していく行動力は中国人の強みで、それ故に寿司バブルの波に乗れたのではと思います。

外出制限中に食べかったものランキング。寿司もランクイン!

ちなみにですが、寿司は現在でもフランスで大人気です。

Ifopの調査結果によると、コロナウィルスの影響で外出制限中、レストランも閉鎖してしまった期間、

一番食べたかった物は何なのか?

というランキングが発表されていました。


▼外出制限中に食べかったものランキング。寿司もランクインしている!

ちなみに寿司と同じくらい食べたかった物で同ポイントだった料理は、

タルタルとフライドポテト、そしてシュークルートです。

2つともフレンチに欠かせない料理ですが、それらに並んで寿司も同ポイントを獲得していました。

フランスでのお寿司の常識、とある人気寿司店の場合

寿司発祥地の日本とは、ちょっと変わったフランス寿司の常識を紹介します。

人気の寿司ネタ、サーモン・マグロ・タイ・エビ

人気の寿司ネタ、サーモン・マグロ・タイ・エビ。大体この4ネタが主流で、その他にはキュウリ巻きなどシンプルなのも人気なのだそう。

8割の客は、サーモンが半分以上入ったお寿司セットを注文する

写真はイメージ。
サーモンがメインのお寿司のセットは、ひたすらサーモンだけを食べる

特にランチになると「寿司の握りセット」とか「握りと巻きのセット」などを準備しているお寿司屋さんが多いのですが、先ほど紹介した主流の4ネタの中でも一番人気があるネタがサーモンで、8割のお客さんがサーモンメインのセットメニューを買っていくのだとか。

生のイカにはまだ慣れてない

単品メニューにはイカのお寿司はあるものの、多くのフランス人にはまだまだ敷居の高いネタだそうです。

海外でも回転寿司店はある

海外にも回転寿司はあります!

日本の場合、小さな子供がお寿司のレーンの傍に座るのを避ける人が多い一方、フランスの場合は回転寿司が物珍しいので、子供がレーンの並びに座ります。

子供によっては、食べるときにガチャガチャしそうで、落ち着かないのかなと思いきや、どんなに小さい子でもじっと大人しく座っていて食事中は騒でいません。

回転寿司に行くとフランスのお子さんたちの食事マナーにビックリさせられる事が多いです。

フレンチ風の寿司がある

なかなか日本のお寿司屋さんではお目にかかれないフレンチ寿司もあります。

アンチョビのマリネにタプナード(オリーブのペースト)をのせて

海外で人気のロール寿司。バラエティーが豊富で美味しい

人気のロール寿司、ロール寿司の逆巻きバージョンは海外からの逆輸入。日本でも人気ですよね。

日本でも沢山のロール寿司を見かけるので、クリームチーズが入っていたり、オニオンフライでコーディングしてあるのは、もうそんなに珍しくはないのですが、素材のチョイスが珍しかったりします。


ニンジン・フロマージュフレ・ハーブのお寿司、フランスっぽい

私が最近食べた変わりロールは、巻き寿司を天ぷらにしたものです。

海外の場合は、お寿司の巻きを揚げていたりしますが、またそれも美味です。


シンプルな巻きサーモンを天ぷら。この他にも「チキンマリネ揚げ」なども存在する。

寿司と焼き鳥&ご飯と甘口の醤油のセットが基本

フランスの寿司レストランの場合「焼き鳥」も食べれます。

これは何故かというと、フランスでは生魚を食べれない人もいるので、その代わりに焼き鳥を準備しています。

グループ客を想定した場合、一人でも刺身や寿司が苦手な人がいれば、お寿司屋さんに行けなくなるので、メニューの幅を増やしています。

そして中国系の場合、寿司と焼き鳥のセットメニューに白ご飯がついてきます。

初めは、何で白ご飯(笑)、何で焼き鳥(笑)

といちいち苦笑していたのに、慣れとは恐ろしいものでこのセットメニューが癖になっていてます。近所の寿司屋に行くときには大体このメニュー+白ご飯。そしてフランス人がするように、ご飯の上に甘口の醤油を垂らして食べています。

これも癖になってハマっています。

個人的に受け付けない寿司もある

フランスには、新商品を考え抜いた末に、おかしな寿司も健在してます。

私は何でも食べれるので、美味しそうと思ったものは、何にでも挑戦しますが、

よく行くお店の単品メニューに

サーモンとほうれん草のタルタル

というお寿司があって、

何でほうれん草入れたの?何でほうれん草が混ざってるの?

組み合わせと見た目がどうしても受け付けない逸品もあります。

海外のすしチェーンでも本格的な寿司を出し始めている

奇抜なお寿司がある一方で、寿司のチェーン店などでは、日本人好みのお寿司も提供しています。

イカにしその葉の組み合わせだったり、タイの炙りに柚子ソースなど、

以前のフランスでは存在しなかった正統派寿司がフランスの寿司チェーンから登場するようになりました。

手巻き寿司のチョイスも独特

この手巻き寿司、ロケット・紫玉ねぎが入ってます。

お茶は有料

日本では無料で頼めるお茶も、海外では有料です。

大体3ユーロくらいで販売してます。

おわり

フランスの寿司事情。

  • スーパーで販売されている寿司に客が流れている
  • 寿司バブルが弾けた
  • 物価の上昇で仕入れ値も上がった

こういった理由で一時期よりはレストランの数は減りました。

しかし、パリとパリ近郊には、フランスの寿司レストランの2/3が集中しているし、寿司を習慣的に食べている人も多いので、今でも激戦区ではあります。

フランスで食べる寿司は、その日によってシャリが大きかったり、小さかったり、ネタが美味しかったりとバラバラですが、サーモンだけは味が安定していていつも美味しいです。

ちなみにインスタから引っ張ってきた寿司の写真MATSURIという寿司チェーンのものですが、 Marbeuf店は日本でレストランをされていたフランス人の方が責任者で働いているので美味しいです。

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