2018年12月1日(土)。
黄色いベスト運動が始まってから3度目の土曜日の夜。凱旋門がデモ隊に占領され、パリの優雅な街並みが一瞬にしてゾンビ映画のような荒れた姿になってしまいました。
破壊行為や放火、奪略のニュースを見た方は、
「何をそこまで怒ってるの?」
「なぜ火をつけるの!」
と思っていたかもしれませんが、
凄まじいまでの破壊行為をして大暴れしていた人たちは、黄色いベスト運動に紛れ込んだ「Casseur」と呼ばれる人たちで、黄色いベスト運動の抗議者とは全く関係のない人達です。
▼Casseurとは反対的な人々達の様子。政府の決定に対して真剣(?)に抗議活動をしている和やかなフランス人。
過激派がデモにまじって起こした破壊行為の数々
▼「Casseur(暴れまくって放火・破壊・奪略をする人達)」が起こした破壊行為は凄まじく、当時の映像を見て分かるように、パリの美しい街並みが一転して「リアル北斗の拳」のように荒れてしまいました。
どれだけの放火が発生したのか?当時の記事によると、この1日だけで249件の放火が現場にいた消防士に確認されていました。
凱旋門の1日の被害額は約70万ユーロだった
2018年の11月半ば~2020年3月の外出制限(コロナの影響で)が始まるくらいまで、黄色いベスト運動の抗議活動は毎週土曜日に行われていましたが、その期間の中でも2018年12月あたりはCasseurが大暴れしていた一番酷い時期でした。
これらの超過激派の人達は、凱旋門に落書きをしたり、チュイルリー庭園の門を破壊したり、ジュ・ド・ポーム国立美術館に火をつけたりと、文化遺産までも破壊したり、暴力・略奪行為などの罪も犯しています。
凱旋門が受けた被害額は、12月1日の1日だけでおよそ70万ユーロ(約8800万円)。
警察との激しい衝突映像が全世界を駆け巡り、拘束されている人たちの様子も目に留まりましたが、
▼2018年12月1日に凱旋門などの文化財を破壊していた過激派の17人(19歳~46歳、男15人・女2人)。この人たちは、司法当局が調査を完了した2年後に裁きを受けてます。
パリで暴れてた人はどんな人?デモ過激派のプロフィール
2018年12月1日の土曜の夜、パリだけで400人以上が拘束されましたが、パリ地検の検事正、レミー・エイツ氏が後日公表した拘束者のプロフィールによると、
大多数は社会によく溶け込んでいる普通の人で、住んでいる場所から遠く離れたところで暴れるパターンが多いと判断できます。拘束された人の中には、必ずしも暴動の経験があるわけではないのです。
フランスに限らずよくあるデモでは、極右が黒幕とか、極左が黒幕とか存在がささやかれていますが、フランスで拘束された過激派の人達は、極右・極左の経験豊かな活動家たち両方が紛れていて、バラエティだったようです。
警察長官によれば、これらの経験豊富な活動家たちは、警察との衝突や、物や車に火をつける技術を身につけていることは明らかなようです。
おわりに
ちなみにですが凱旋門付近が滅茶苦茶に荒らされた3日後の12月4日。
戦争で亡くなった名もなき兵士への追悼セレモニーが予定通りに行われ、3日前の暴動が嘘のようでした。
静粛に包まれているようにも見えますが警戒態勢はこの時も続いていて、毎週土曜日の凱旋門・シャンゼリゼ界隈が過激派の人達の待ち合わせ場所のようになってしまいました。
翌週の8日土曜日には、ルーブル・オルセー・エッフェル塔などのパリ有名観光施設が軒並み閉鎖したり、シャンゼリゼ界隈のブティックやレストランなどほとんどの店舗が警察庁からの勧告で閉店したので、経済的にも大きなダメージを受けてます。
デモ活動にまぎれて暴れている人たちの暴力行為、破壊・略奪行為は立派な犯罪なので、全員が捕まって欲しいなと切実に思います。