海外って何が起こるかわからないし、自分の国の常識が通じない事もあるので、海外旅行中の行動には十分注意したいものですよね。
自己判断の甘さが「大きな痛手」となって自分に返ってくる事はどこにいてもある事なのですが、
南アフリカ旅行中のフランス人に特大級のブーメランが刺さっている事件がおこりました。
世界中で国境が閉鎖がされていたり、国際線の受入れを厳しく制限している最中に
「海外旅行ってするもんじゃないな…」
と改めて感じた事件を紹介します。
南アフリカ旅行中のフランス人がコロナ感染疑い。「殺人未遂」で起訴
南アフリカを観光中だった25歳のフランス人男性が、コロナウィルス感染後に「隔離規定」を守らなかったとして「殺人未遂」で起訴される事件がおこりましたが、
何でそんな事になってしまったのか?
▼詳しい経緯が「ル・モンド」で説明されていました。
ちなみにフランスでは3月17日12時から、南アフリカでは3月26日深夜からロックダウンが実施されてますが、男性が南アフリカに向けて出発したのは封鎖前の3月14日。
3月12日にマクロン大統領がフランス国民に向けて行ったテレビ演説の2日後に、友人4人と一緒にフランスを出国しているので、リスクが伴う旅行であったことは簡単に推測されます。
南アフリカで「コロナ感染疑惑」に気付いた経緯
南アフリカ到着後、男性は友人らと一緒にアフリカ有数のサファリ「クルーガー国立公園」を訪れたところでちょっとした異変に気付きます。
▼南アフリカ最大の野生動物保護区。
「クルーガー国立公園」の面積は、2万km2 近くありイスラエルやウェールズに匹敵する大きさです。
この男性は広大なクルーガー国立公園内で頭痛と微熱を発症しましたが、最初は「マラリア」にかかったと思い込んでいたようで、コロナウィルスとは全く思っていなかったと…
※クルーガー国立公園はモザンビークとジンバブエの国境に接した地域なのでマラリア流行地域に指定されています。
最初はマラリアに感染してしまったかも…
と医師の診察を受けに行った男性ですが、
診察した医師はコロナウィルス感染の疑いも考え、テストをするように勧めています。
医師が「隔離」については言及せず、テスト結果前に去ってしまう
普通なら感染力の強いコロナウィルスのテストを行ったのであれば、感染の疑いのある患者にテスト結果を待つように指示するようなものなんですが、
担当した医師は、テスト結果がでるまでクルーガー国立公園に残る様に言わなかった…
と男性は言っています。
男性はクルーガー国立公園から180キロほど下った「スワジランド(隣国)に行きたかった」とも語っているので、
医師がそんな事言うかいな…
とついつい疑ってしまいますが、
「国境が封鎖されているので、クルーガー国立公園から約500キロ離れた南アフリカの東海岸(セントルシア)に行くように」と担当医師にアドバイスされたと主張しており、
結局、男性と友人一行はコロナウィルスの結果が出る前に、スワジランドからさらに300キロも遠いセントルシアまで移動。
医師のアドバイス通りに行動したと主張している男性ですが、
数日後、警察に取り押さえられ、それぞれ違う病院に隔離されてしまいます。
病院で再検査した結果、5人全員が陽性で1人は軽度。残りの4人は無症状であったことが判明してしまいます。
警察の主張「隔離命令を無視⇒南アフリカにウィルスを蔓延させた⇒殺人未遂の容疑」
なぜ警察に殺人未遂の容疑で逮捕されてしまうのかというと、
南アフリカにウィルスが蔓延してしまったのは、隔離命令を無視したこの男性のせいだと思われている節があるという事です。
南アフリカの警察相は3月25日、コロナウィルスに感染した2人が隔離規定に従わなかった為、殺人未遂の容疑で起訴したと発表しました。
コロナウィルス関連で殺人未遂の容疑で起訴された2人とは、
1人目は、ウィルスの陽性反応が出てるにも関わらず理髪店で働きつづけた男性。
2人目は、クルーガー国立公園で陽性反応を示した観光客←フランス人。
警察のスポークスマンは、フランス人男性はクルーガー国立公園の滞在ホテルにとどまるようにとの命令を無視してセントルシアに旅行し、そこで「未知数の人々と交流した」と主張しています。
海外で外国人の主張が通る事は「ほぼゼロ」
コロナウィルスに陽性反応を示した人が旅行をすると殺人未遂に問われる。
医師のアドバイス通りに従っただけで、自分がコロナウィルス保持者とは知らなかった…
といくら反論しても現地の警察の主張を覆すことは至難で、外国人の主張が通ることはほぼゼロです。
しかもコロナウィルス保持者の外国人が自分の国でウィルスをまき散らしていたとしてたら…
それは向かうところ敵ばかりで、ウィルスを持ち込んだ外国人には容赦ない判決が下されるのだろうと思います。
現地大使館に紹介してもらった有能な弁護士を雇うしか対策がありません。
海外でこういったトラブルに巻き込まれると怖いのは、例え自分に非がなかったとしても訴えられてしまえば、話す言葉も、裁判制度にしても、その国の価値観も大きく違うので不利な上、滞在費や弁護士費用など大きな負担が増える事。
今回紹介したケースでは、フランス人男性に大きな過ちがいくつもありますが、裁判に同意をするサインをしなければパスポートが没収され出国ができない、
裁判で有罪が決まれば他の犯罪者と同等の扱いを受ける事が安易に想像できます。
世界中がウィルスで混乱している時に海外旅行には行かない。
海外では何が起こるか分からないので、状況を見極めて判断しましょう。