2020年の正月休み、子供たちと一緒に近所のマックに行った時の事、
小さな子供を連れたお母さんがカウンターにいたマック店員と揉めているのに気づきました。
お母さんは子供用にハッピーセットを頼んでいたのだけど、紙パック入りのジュースにストローが付いていなかったので「ストローを下さい」と店員に頼んでいた所。
だけれども店員は「ストローはありません」としか返事しない。
2019年までのマックにはストローが付いていたのだけど、2020年のフランスのマックにはストローが無いのです。
なぜならフランスでは「使い捨てのプラスチック製品 」の販売が2020年から禁止になったからです。
なぜストローが無いのかを説明すれば解決する問題なのに、とにかく「ストローが無い」しか言わない。気が利かないというか、親切心が全くないというか、フランスのファーストフード店で働く平均的な店員さんだったので、そのうちお客さんであるお母さんも、
「子供小さいんだからストロー無かったら飲めないでしょ、どうやって飲むの!(怒)」と怒ってました。
お子さんを見た感じバブバブしていたので、1歳半くらいではないだろうかと思うけど、1歳半のお子さんにこの紙パック直飲みはキツイ。
母親の怒り後ようやく悟った店員は、
「紙製のストロー」 をお母さんに渡していたのだけど、
紙製ストローあるなら最初っから出しとけや。
と店員の対応の悪さに嫌気がさしたのと同時に、フランスでは、使い捨てプラスチック製品が徐々に無くなっていくんだ。と実感した出来事でもありました。
今回は、2040年にゼロプラスチックを目指すフランスでの取り組みについて紹介します。
エネルギー転換法に盛り込まれた「使い捨てプラスチック製品の販売禁止」
2015年にフランスで制定された「エネルギー転換法」
石炭などの化石燃料や原子力発電の使用を徐々に削減し、再生可能エネルギーへの移行を進める長期的プロジェクトです。
地球温暖化や大気汚染の原因となる温室効果ガスの排出削減を目指すため脱炭素化の実現を目指します。
そしてこの「エネルギー転換法」には、使い捨てプラスチック製品の規制も盛り込まれています。
使い捨てプラスチック製品は、再資源が難しくそのまま破棄される事が多いため、海洋プラスチックごみ問題など海洋や生態系に破壊的なダメージを与えています。
その上プラスチック製品を作るには原油が必要で、燃やすと二酸化炭素も発生します。
あまり環境によろしくない使い捨てプラスチック製品なんですが、
フランスでは2020年1月1日から段階的に販売を禁止して、
2040年頃までにはすべてプラスチック製品(お菓子の包装紙・ペットボトル・おもちゃの景品なども対象)の使用廃止をめざします。
「使い捨てプラスチック製品 」規制対象品は?
使い捨てプラスチック製品の問題点は、再利用が難しく、毎日大量のゴミとして排出されている事です。
ただ使い捨てプラスチックであったとしても規制対象外となり使用できる場合があります。
それは、使った後も再利用の価値があることが条件です。
使用後も資源として有効に活用できるもの、
例えば「堆肥化」できるような資源が原料(少なくとも50%以上)に含まれていれば規制の対象外となります。
フランスで段階的に販売禁止となる「使い捨てプラスチック製品」の詳細
「エネルギー転換法」 が2015年に制定されたとはいえ、
既存の使い捨てプラスチック製品をどのようにして再生可能な資源に活かすことができるのか?
製造業の取り組みが重要になるのですが、
使い捨てのプラスチック製品を製造している企業は中小企業が多いです。
合格基準を満たした製品に仕上げるため時間がかかります。
なので一気に複数の製品が規制されると追いつかない…
こういった状況を考慮して、2020年から規制対象となっていたプラスチック製品のいくつかは、一年後の2021年からに延期されました。
2020年から販売禁止となった「プラスチック製品」
- お皿
- コップ
- グラスタイプ(透明)のコップ
- 綿棒
2020年1月1日~の規制対象となる製品は上の4点。
しかしこれ以前に製造済みであったり、すでに入荷済みで在庫が余っている場合は、1月1日から6か月以内であれば在庫分を流通・販売することが可能です。
2021年から販売禁止となる「プラスチック製品」
- ストロー
- ナイフ・フォーク・スプーンなど
- マドラー
- 持ち帰り用コップの蓋
- ステーキなどに刺さっている串
- プラスチック版紙吹雪
- 野菜・果物のプラスチック包装(内容量が1,5キロ内)
- お弁当の容器
- アイスクリームのカップ
- サラダボール(サラダが入っている容器 )
- 発泡ポリスチレンの容器(ケバブが入ってる容器など)
2021年には対象範囲がさらに細かく指定されます。
使い捨てと聞くと、食事に使う食器一式を想像しましたが、容器だけでなく梱包品も対象となっています。
クラッカーの中に入っているような紙吹雪までも対象品となっているのは盲点でした。
そして2021年はプラスチックの容器ではなく、 発泡ポリスチレンの容器も規制の対象になるのがポイントです。
フランスのケバブ屋さんでケバブを持ち帰るときは、 発泡ポリスチレンの容器に入れている事がほとんどです。
▼ケバブの容器
2022年以降から販売禁止となる「プラスチック製品」
- お茶の袋
- ファーストフードの子供向けセットについているおもちゃ
ティーパックなど一袋づつ小分けされているものも対象になるのではと予想していますが、
▼先日マクドでもらったこんなオモチャも2022年からは規制対象になります。
「使い捨て商品」サービスで利用するのも禁止
2022年以降になると、例えばフランスのスーパーでは、搾りたてオレンジジュース絞り機の横にペットボトル容器を設置しているのですが、今後はプラスチック製のペットボトル容器を無料で設置する事ができません。
マラソン大会などの水分補給で、企業名の入ったペットボトルの水を協賛することができなくる、こんな事が予想されます。
その代わりに、公共施設では冷水機のような水飲みできるものを設置する事が義務になります。
2023年以降はファーストフード店(イートイン)で使用する使い捨ての食器類すべてが規制対象に。
そして2025年からは、学校給食で使用する容器・食器類のすべてが対象になる。
こういった感じで徐々に使い捨てプラスチック製品の使用を少なくしていき、
2040年には「ゼロプラスチック」を目指しています。
まとめ
「エネルギー転換法」が2015年に制定され、2020年1月1日から実施されました。
ストローの規制が始まるのは2021年なのですが、多くのレストランでは紙製のストローを既に導入していたり、リサイクル可能な資源を利用した製品を利用しているところは多いです。
あと20年後にはゼロプラスチックを目指しているフランスですが、
プラスチック製造やプラスチック再生事業にかかわる企業(フランスでは3500社・122,200人が働いている)は大変です。
参考サイト
https://www.msn.com/fr-fr/actualite/r-evolutions/assiettes-gobelets-ces-produits-en-plastique-seront-interdits-%c3%a0-la-vente-d%c3%a8s-2020/ar-BBYuxVk