子供の歯が抜ける時。
子供にとって一喜一憂はつきものです。
歯がグラついてご飯が食べづらいだとか、うっかり思いっきり噛んでしまった時の痛そうな顔、歯が抜けるときの不安な面もあるけれど、あっけなく歯が抜けた瞬間の顔、すきっぱになった口元を自慢げに見せる子供の姿は万国共通で癒されます。
子供の様子は世界共通でどこも一緒なのですが、歯が抜けた時に行う風習や文化などは、それぞれの国で違っていて面白いなと感じた今日この頃。
今回は「フランス語圏では乳歯が抜けるとネズミがきてワンコインと交換する説」についてと、「ワンコインではなくスリーコインをおいてみたらどんな反応をするのか?」について紹介してみます。
フランスでは乳歯が抜けるとネズミがやってくるがスタンダード
それぞれの国で乳歯が抜けた時の風習は違いますが、
フランスの場合、
「La petite souris va venir chercher ta dent~」
(小さなネズミがあなたの歯を探しに来るよ~)
と、歯が抜けた後の楽しみをチラつかせながら、親は子供の不安を取り除いています。
普通サイズのネズミではなくて「小さなネズミ」が歯を探しにやってくるという所に愛を感じますが、「歯が抜けた後にはお楽しみが待ってるから、もうちょっと歯のグラつきを我慢してね。」的な事をいっているのです。
しかし「誰」が歯を探しにやって来るのか?については、フランス語圏と英語圏で言い伝えが分かれています。
英語圏では「妖精」、フランス語圏では「ネズミ」が濃厚
日本・中国などのアジアの国々では、乳歯が抜けたら家の上か下に投げるのが一般的ですよね。
でもそれが欧米になると、「誰か」がこっそりと抜けた歯を持ち帰ってくれて、ワンコインかプレゼントに変わっている。そんなメルヘンチックな風習に変わります。
フランスの子供達は最初の歯が抜けた時に、ドキドキしながら枕の下に歯を置いて眠りにつくのが恒例になっていますが、それは何故かというと、小さなネズミがやってきて歯と引き換えに2ユーロを置いていってくれるからです。
▼寝る前に枕の下に歯を隠すイメージ
▼子供が寝ている間に親が歯を抜き取り代わりに2ユーロを置く。
Mômes par Parentsによると、ネズミが探しに来ると言い伝えられているのは、フランス・ベルギー・スイス・ルクセンブルクなどのフランス語圏に多く、英語圏の場合では「Tooth Fairy」、ドイツでは「Zahnfee」といって「妖精」がやってくると言うことが多いようです。
その他の国では、
南アメリカ⇒「el Ratón(ネズミ)」
スペイン⇒「els Angelets(小さな天使)」
そしてイタリアでは「Topino(ネズミ)」「Fatina(妖精)」の2つが混在しているのだそうです。
フランス語圏ではなぜネズミになってるのか?
なぜ英語圏では「妖精」なのに、フランス語圏では「ネズミ」になってしまうのかというと、18世紀のフランスの物語「La Bonne Petite Souris」に由来しているのでは?と伝えられています。
この物語の中では、意地悪な王様から女王様を守りたい妖精が「ネズミ」に変身し、夜な夜な枕の下に隠れて歯を抜いていく…とても迷惑な場面があるのですが、これが由来しているのではないかという諸説。
そしてもう一つは、
昔の人々は、落ちた歯が動物に食べられると、新しい歯がその動物の歯の特徴を受け継ぐと考えていたので、両親は齧歯類のような固くて丈夫な歯を願い「ネズミ」と例えるようになった…
この2つが由来しているとささやかれています。
ただ、この風習がフランスで広く伝わったのは1950年くらいと言われているので、何が由来しているのかは定かではありません。
乳歯が抜けてもネズミがこない実際のケース
しかし実際のところ、乳歯は20本もあるし、永久歯が全て揃うのは14歳くらいだと言われています。
最初は張り切って行っていた風習も、全部の歯が抜ける度にやっていくのは無理がありますし、いずれはバレるので、このネズミさんが~うんぬんかんぬんもクリスマスのサンタのように、いつかはカミングアウトをしなければいけません。
特に歯が何本抜け落ちたら辞めるという決まりもないので、我が家の場合は途中から「ネズミさんは毎回探しに来ないんだよ」と誤魔化し、最初の6本で打ち切りにしました。
しかもフランスはパン屋さんでも1ユーロからカードが使えるカード社会です。現金をあまり使いません。いつ乳歯が抜け落ちるかもわからないし、歯が抜けたところでタイミングよく小銭を持ち合わせていなかったりします。なので、子供がウキウキしながら枕の下に歯を置いたとしても、変わりに置くお金がない時もあるのです。
もし小銭があったとしても、親が寝落ちして置き忘れてしまう小トラブルもあるので、「おかしいね、なんでネズミさん来なかったんだろう…深い眠りにつかないとネズミはやってこないかも…」なんて誤魔化しながらその場をしのいでいます。
なぜ2ユーロ?スリーコインで子供の反応を試してみる。
そしてなぜ2ユーロなのか?
金額についても特に決まりはありません。
実はワンコインならばいくらでも良いのですが、
子供も賢いのでワンコインの最大値2ユーロと値踏みしているし、子供向けの本の中でも2ユーロと紹介されているので、子供の中では2ユーロが絶対的な存在になっています。
▼小学校1年生向けの本「La dent de Julie」の中でも2ユーロになっている。
しかし前述の通り、歯が抜けた時に運よく2ユーロ玉が無いなんてことはしょっちゅうある事です。
しかも次男は、歯が2ユーロに変わりますようにと抜けた歯を舐める&抜けた歯をティッシュにくるむ独特の儀式をします。
彼の中でも2ユーロは絶対的な存在になっていますが、つい先日、次男の歯が抜けた時にも2ユーロがなかったので、代わりにスリーコインのトータル2ユーロで試してみました。
▼初チャレンジでスリーコイン。子供の反応を確かめてみる。
翌朝、歯の事なんてすっかり忘れていた次男とお金を置くのを忘れていた親2人。なので、次男が朝ご飯を食べている間にササっと済ませ、枕の下を確認するように教えてみたのですが、
「今日は3枚も小銭があった!!!!」と、
やっぱり抜けた歯を舐めたら2ユーロ!
と確信したらしく、
次男は大興奮でネズミがどうやって3枚も持ってきてくれたのかは分からないと言っていました。(笑)
7歳になったばかりの次男ですが、ネズミがお金を持ってくる部分にはあまりこだわりがなく、どんな状況でも2ユーロが置いてあった事が一番嬉しかったようです。
多分もうネズミじゃないって気づいてるかも。
と感じた出来事でした。